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永遠の世界で ※
side:リシェ
「アレク様っ、お仕事終わったんですか?」
至高の間に帰って来てくれたアレク様に、嬉しくて駆け寄ってしまう。
「リシェっ、走るな危ないっ!」
アレク様が慌てて抱き止めてくれる。
「アレク様に早く逢いたかったから、つい…。」
「普段ならそれは嬉しいが、今は駄目だろう?」
何となく嬉しそうな顔をしながら、僕のお腹を撫でて言い聞かせるように言うアレク様。
だいぶ大きくなった僕のお腹…。
僕は流石に妊娠について詳しくないから姉さん任せで、今は臨月らしい。
後はアレク様が知識の方は全部頭に入ってるから、任せるしか。
「愛しいリシェとの俺の子だ。」
やっぱりというか何と言うか、デキたよね。
僕の光である『生』と、アレク様の闇の『死』はどちらも凄く人の生命に関わってるから、この組み合わせはデキ易いからね…。
「しかし、あれから百年か…思えば随分急激に世界が発展したな。」
「闇の人が解放された事で、文明がもっと回るようになりましたもんね。」
アレク様が僕のお腹を撫でながら、感慨深気だ。
「リシェは仕事は終わったのか?」
「はい、終わりました。」
「そうか、無理をしないでくれたらいい。」
ギュッと強く…お腹に気を付けながら抱き締めてから、抱き上げて寝室に運んでくれた。
「あっ!?」
ベッドに降ろされてすぐに来た。
「う…痛ぁい!!」
余りの痛みに真っ直ぐ寝てられない。
お腹を抱え込むように横向きになって呻いてしまう。
「リシェ!今済ませる!」
アレク様も少し動揺して、でも行動は冷静で。
僕は荒い呼吸しか吐き出せない。
痛過ぎて意識を失う事も出来ない。
全身が汗でグショグショだ。
アレク様は何か言ってくれてたけど、殆ど聞き取れなかった。
アレク様が僕のお腹に手を当てると、転移の神力でお腹の中の子を取り出してくれる。
流石に僕に産道は無いからね。
「リシェ…まだ苦痛はあるか?」
片手で水魔法や火魔法などを使って赤ちゃんを綺麗にしながら、僕の顔を覗き込んで様子を窺ってくれる。
少し落ち着いた僕は浄化の神力で、この場の全てを清浄化した。
すぐに治癒で、出産のダメージを回復させて一息吐く。
「有難うございます。もう大丈夫。」
アレク様から赤ちゃんを受け取る。
「うん、瞳は金色だね。」
金髪のその子の目の色を確認した。
以前のように闇と光の力の中間色の紫にはならなかった。
金色…つまりこの子も神だ。
「リシェール、だな?」
「はい、今度こそ…ちゃんと産んであげられました。」
リシェールは人間だから何十年も前に亡くなってしまった時、物凄く悲しかった。
同じ思いをリシェールにもさせてしまったんだと、凄く苦しかったんだ…。
「リシェール、僕と幸せになろうね。今度こそ親としての愛を与えてあげられる…。」
リシェールは紫の瞳のお陰で両親に冷遇されてしまい、親の愛を得られなかった。
だから今度は…。
アレク様との大切な存在を優しく抱き締めると、アレク様が横に腰掛けて、僕ごとリシェールを抱き締めた。
「アレク様、幸せが増えましたね。」
「ああ。三人で……いや、もっともっと家族を増やそうな。」
「はい…。」
僕が顔を染めて微笑むと、アレク様が顔を近付けて、深く口付けを交わした。
「…押し倒せないのがキツイな。」
「もう治りましたよ?」
「いや、表面上は治ってもまだダメージがあるかもしれない。」
確かに、完全だとは言い切れない。
「アレク様の方が慎重ですね。」
思わず笑ってしまう。
「当たり前だ。あんなに苦しそうなリシェを見たら…。リシェには本当は一切苦痛など感じて欲しくないんだぞ。」
「まあ、仕方無いですね。産みの苦しみって言うし。」
「生命を産み出す為には仕方が無い…わかってはいるが……。」
僕の身を案じてくれる優しい…いや、愛してくれている気持ちが凄く嬉しい。
「僕は……また痛くなるってわかってても、アレク様との愛の証が欲しいです。」
「うっ……く、リシェ…。」
何故か股間を押さえるアレク様。
もう一度キスしてもらおうと目を閉じる。
すぐにアレク様の息が近くに……。
「あっ!」
「どうした!?」
キス目前で思い出す。
「初乳ってあげるんですよね?」
慌てて服を捲って胸を出す。
「り、リシェ…母乳は出るのか?」
少し顔が赤いようなアレク様に尋ねられる。
「下半身は男女の違いがあるけど、上半身は男女でそんなに変わらないかなって。」
「成程…。」
僕はリシェールに胸を近付けてみた。
うん、飲んでくれてるみたい。
不意にアレク様が僕の前に回る。
「…リシェ……味見をしてみてもいいか?」
「味…見…。」
「いや、本当に赤子の飲むものが出ているのか…気になって…な。」
何故かアレク様はしどろもどろだ。
「…う、うん、いいですけど……本当にちょこっと味見だけですからね?」
刺激されちゃったら僕が困った事になっちゃう。
確認するように言ってから胸を張って、どうぞと出す。
「リシェ……。」
アレク様が空いてる方の乳首を口に含み、優しく吸った。
「あっ…あんっ!」
やっぱり赤ちゃんが吸うのとは違う。
思わず声を上げてしまう。
「本当に甘いな……。」
僕が声を上げてしまったからか、アレク様がギラついた眼差しで見つめて来る。
アレク様はリシェールを僕から取り上げると、すぐ脇のベビーベッドに寝かせ、僕の両手をシーツに縫い付けた。
「アレク様…今日はまだしないって…。」
「リシェが煽った。」
僕も数ヶ月ぶりだから、さっきので感じちゃってるんだけどね。
「煽ったって、どんなふうに…?」
訊きながら熱を帯びた眼差しでアレク様を見る。
「…フッ、誘い方が巧くなったな。」
アレク様が硬い股間を僕にグリグリ押し付けて、僕の欲情を誘う。
「アレク様、早く…欲しい…。」
「リシェ!抱きたいリシェ!」
僕の衣類を乱暴に剥ぎ取り、自分の服もあっと言う間に脱いでしまう。
僕だけを求めてそそり勃たせてくれるアレク様の分身…。
「そんな目で見られると…手加減が出来ない!」
言いながらアレク様が乱暴に胸に吸い付き、もう片側の乳首を指で捏ねる。
「あぁんっ!おっぱいだめえっ!母乳出ちゃうっ!」
捏ねられた乳首から白透明の液体が、アレク様の顔に掛かった。
もう片側の母乳はアレク様の口内に。
「甘いが、これならずっと飲んでいられる。」
飲み尽くしちゃったら困る。
「…アレク様のミルクも、欲しいです…。」
誘導する為にと、頬を染めてしまいながら、目を伏せて呟く。
「そうか、リシェ!たっぷり飲ませてやるからな!」
僕の両腿を抱え上げると、一旦止まり僕を見るアレク様。
「約一年くらいしてないから…加減出来ないからな?」
また頬を染めてしまう。
「…リシェを目茶苦茶にして下さい、アレク様…。」
恥ずかしい言葉なのに興奮してしまう。
少し呼気を荒げた僕にアレク様も興奮したようで、さっき飛ばした僕の母乳を指に取って、僕の後孔に指を入れて抽挿させる。
「あっ、あぁっ!いっ…い…んっ!」
もっととねだるように腰が動く。
「相変わらず旨そうに指に喰らい付くエロい孔だな。」
指が中で突き上げる場所を変えて、僕の弱点を強く抉る。
「あっああっ!えっちなあなを…っ、おしおきしてっ!あれくさまぁっ!!」
勃ち上がる先端から涎を垂らして、アレク様が与えてくれる快感を、もっとと望む。
熱を帯びた目は快楽で涙が溢れてしまう。
アレク様は涙を舐め取ると、すぐに切羽詰まったように中に入って来た。
「ああっ…あれく、さまぁっ!!」
アレク様が僕の中に入ってる。
一つになれる幸せにボロボロ涙が零れてしまう。
僕の顔のあちこちにキスの雨が降って来る。
最後に唇を啄むと、荒々しく噛み付くようにキスしてくれる。
同時に、僕の中を抉じ開けるような動きで抽挿が開始された。
「一年近く……俺もよく耐えたと…っ!」
宣言通り最初からスパートのように突き上げが速くて。
「あっ!あれくさま、もう…っ、イっちゃう!イっちゃう…あああっ!!」
僕もアレク様と同じ日数してないから、あっと言う間にイってしまった。
イって自然にアレク様を締め付けるように僕の通路が蠢いてしまうが、アレク様が強い力で抉じ開けて奥へと進み、僕を奥深く貫く。
「あっああっ!アレクさまぁっ!もぅ…っ!」
快楽が過ぎて言葉が嬌声にしかならない。
「リシェ…っ!孕ませてやる…っ!」
僕はもう快感でいっぱいで、揺すられるがままになり。
「あっ…あれく…っさま…っ!にんしん…させてぇっ!!」
「リシェ!俺の子をっ、孕めっ!」
「ああっ……できちゃ…ああっ……あああ―――っっ!!」
結腸まで入り込んだアレク様が、僕のお腹の中に直接熱い子種を撒き散らした。
僕が至高神になってから、神は僕が産み出すようになった。
僕が『理』の基準になったから。
だから……。
「どんどん作らないとな。」
「うん……アレク様、宜しくお願いします。」
「お願いなんてされなくても、俺はリシェに注ぎ続けるけどな。」
「母上!」
アレク様と会話してる所に飛び込んで来る息子のリシェール。
「リシェール、勉強終わったの?」
抱き締めながら尋ねる。
「はい、明日の分まで終わったので、母上に会いに来ました!」
リシェールは目一杯甘えてくれる。
そんなリシェールを、いきなりアレク様が僕から取り上げてしまう。
「お疲れさん、父と遊ぼうか?」
リシェールを抱き抱えるアレク様から威圧を感じる。
「わ、私は母上と…っ!」
「かーさま。」
二人目の息子のエイリシュが、僕の空いた膝に乗って来る。
エイリシュを撫でながら抱き締めると、
「父上!私は母上に抱き締められたいのだ!」
「ったく煩い。リシェの膝は俺の物なのに…。」
アレク様は何かぶつぶつ言いながら、リシェールとエイリシュを交換して来た。
リシェールは凄く僕の事が大好きだ。
こんなに好きになってくれてるのは、前世の記憶が薄くあるんじゃないかと思ってるんだけど…。
リシェールを抱き締めながら背中を叩いていると、リシェールの瞼がうとうとと閉じる。
「勉強したら疲れちゃうよね。」
そのまま寝かせようと、額にそっとキスをした。
「入っていい?」
部屋の外から声が掛かる。
「入れ。」
アレク様が返事をすると、すぐに来訪者が入って来る。
「陽太さん、お疲れ様です。」
「おつおつー。リシェ相変わらず綺麗だね。」
「あはは、有難うございます。陽太さんの目当ては僕じゃ無いでしょ?」
「あーあ、残念、寝てるかぁ。」
陽太さんの目的は当然リシェール。
「でもリシェと、ついでにアレクにも会えて嬉しいよ。」
「ついでなら要らん、帰れ。」
「あぁ、嘘ー、アレクにも会いに来たよ。親友だし!」
二人の遣り取りは親友ならではで、ちょっと羨ましい。
陽太さんは歳を取らなかった。
魂が異世界…地球の物だった事と、今の身体が魂だけの存在である事、そのどちらかのせいだと思う。
「陽太さん、そう言えばリシェールは今世は太陽神です。」
眠るリシェールに視線を移す。
「スッゲー、アレクが予想した通りだ。」
「消去法だけどな。」
起こさないようにそっとリシェールを陽太さんに渡す。
「じゃあ俺が太陽神の神殿長でいいのかな?」
「それはいいが、まだ暫く育つまでリシェールを神殿にはやらないぞ。」
「神殿を建てる期間が必要だからね。あと俺以外の人事もあるし、教団員も集めなきゃだしね。」
「良かったね陽太さん、神殿長になる勉強しておいて。」
楽しそうにも軽く語る陽太さんだけど、こう見えてしっかり勉強していた。
常に努力している彼は凄いと本気で思う。
だって将軍やって、神殿長って全く勉強する内容が違うのだから。
「リシェール、早く育って俺のとこに来てね。」
陽太さんはリシェールを大切そうにそっと抱きしめる。
「陽太って名前からして、太陽神に仕える運命みたいですよね。」
「ああっ、本当だ!やっぱり運命だったんだぁ。」
気付くと凄く嬉しそうに顔を綻ばせる陽太さん。
…そうだ、まだ年数は掛かるけど、リシェールは太陽神としていずれここを出て行く。
きっと仕事で忙しくなって、今みたいに頻繁に会えなくなっちゃうよね…。
「「リシェ!」」
僕が寂しそうな顔をしてしまったんだろう、二人が僕を抱き締める。
「あっ、大丈夫、御免なさい。まだ先の事だしね。」
「…リシェ、もっともっと子供を作ろう!」
エイリシュをソファーに寝かせてアレク様が慌てたように言ってくれる。
「えっ、それって俺も参加していいの?」
「いいわけあるか!」
アレク様がリシェールを陽太さんから取り上げて、闇結界で陽太さんを追い出した。
そう、色々と人事に変化があった。
僕が至高神になったから、光神は姉さんだけに。
リシェールは太陽神の神力を持っていた。
太陽神を奉るトップに陽太さん。
ルキウスは随分前に前世のリシェールがラデルト義兄さんに、その座を死後譲った。
ラデルト義兄さんは、涼一さんが作ったアバターで光神ファルセアのパートナーとして、姿変わらず(姉さんと会った二十代の姿)姉さんと永遠を生き、ルキウス国王として君臨してる。
煌父さんは、光神ファルセアの息子として、光の神殿長になった。
隣には常にマリア母さんが居る。
二人とも神の血族だから歳を取らない。
リシェールの死後陽太さんは将軍の地位を譲って、神殿長になるべく特訓しながらリシェールが生まれ変わるのを待っていた。
エイリシュは……実は破壊神の生まれ変わりだ。
僕が取り込んだせいか、破壊神の力は無い。
前世では白髪だったけど、今世は黒髪。
アレク様の遺伝だと思う。
顔も何となくアレク様に似てる気がする。
似た系統の力だからか、エイリシュは冥界神の素質を持っていた。
そして、アレク様は相変わらず闇神ではあるけど忙しいので、ファルセア帝国の皇帝位をスティーヴさんに譲った。
闇神以外に、僕を休ませる為に僕の仕事をマスターしてくれた。
やっぱり計り知れないな、アレク様。
他の神はまだ空席だらけだけど、僕とアレク様で頑張って作らないと。
「リシェ!朗報だ。」
「アレク様?」
随分早く仕事が終わったのかな?
至高の間にアレク様が駆け込んで来た。
「喜べ、日本に行けるぞ。」
「えっ、本当ですか?」
懐かしく思う名前に思わず頬が綻ぶ。
「もう二度と行けないと思ってました。」
「俺も流石に無理だと思っていたが、あっちに残った輝が繋げてくれたんだ。」
輝叔父さんは家族の中で一人だけ日本に残った。
もう生きてない筈だけど、そんなプレゼントを残してくれたなんて。
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