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第31話

その数日後、夜遅くに帰ってきた母親が 「お客さんからたくさんケーキ貰ったから健人くんのお家にもおすそ分けしてきて」と、美味しいと有名なお店のケーキをうちで食べる分を抜いて俺に「はい」と渡してきた 「今?」 「うん、今」 「遅くね?」 時計は22時を回っていた 「大丈夫、健人くんママにはメールして持って行くって伝えといたから」 「へーい」 「こんばんは、入って」 ピンポンを押す前に玄関の扉が開いて健人の母さんが俺を招き入れた 「あら、こんなに?おばさん甘いもの大好きだから嬉しい〜!お母さんにお礼伝えといてね。」 「はい、健人とおじさんは?」 「お父さんは今日出張でいないのよ。健人は・・・部屋にいるけど呼んでくる?」 「あ、俺呼んできます」 健人の部屋は2階の階段上がって奥にある いつも遊びに来る時は必ずメールしてからきていたが、今日は来ることを伝えてなかったから、 驚かせてやろうと階段を静かに上がって物音立てずに部屋の前まで行った。 突然ドアを開けて登場し、びっくりさせようと企んでいた。 健人、どんな顔するかな びっくりして叫んだりして・・・ 俺は笑いを堪えながら息を潜めた。 ドアノブを音を立てないようにゆっくり捻り、 ドアが静かに少しだけ開いた。 その隙間からコソッと部屋の中を覗くと、 部屋の電気が消えているのが見えた。 あれ、もう寝てるのか? 真っ暗な中微かに見えるベッドには 人が横たわってる姿がかろうじて見えた 寝てんのか、つまんね・・・ 俺は帰ろうと静かに少し開いたドアを静かに閉めようとした時だった──────── もぞ・・・・ 「んっ」 「あっあっ・・・」 今まで聞いたことのない ずっと聞きたかった 健人の艶かしい声が聞こえたんだ

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