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第242話

こうして、俺はまた綾人さんとイチャイチャラブラブな生活を再開した。 綾人さんと付き合って初めて大きくすれ違ったこの期間は、俺たちが前に進むために必要な試練だったのかもしれない。 辛くて、寂しくて、苦しくて、悲しいことはたくさんあったけど、その分たくさん幸せなこともあった。 俺は過去の過ちを深く反省し、綾人さんは辛くてもそれを乗り越えてくれた。 おかげで人生最高に幸せな誕生日を迎えることができた。 綾人さんとの絆も、信頼も、関係も、全部がグッと深まった気がする。 「綾人さん、緊張する。」 「はえーよ、馬鹿。」 「何着て行こう?やっぱりスーツ?」 「マジでやめろな?普通の服着ていかないと家入れないから。」 先輩をこの世に授かり、育ててくれたご両親。 先輩にとって大切な家族。 いつか綾人さんに、俺の両親にも会ってほしい。 親や兄弟、俺たちに関係のある身近な人たちには認めてもらって、堂々と生きていきたい。 それにきっと、今回みたいに俺たち二人だけで乗り越えるのは難しいときが、また訪れるかもしれない。 柳津さんや麗子ママ、透さん、圭さん、一応ちゅんちゅんも。 たくさんの人に助けられて、支えられているのだと知った。 助けを求めてもいいんだとわかった。 そう思ったら、とても生きやすくなった気がする。 「城崎、行くぞ。」 「はーい。……あ、待って。綾人さん。」 「ん?」 靴を履いて玄関の戸を開けようとする綾人さんの腕を引き、胸の中に閉じ込めた。 モゾモゾして、なんとか顔を上げて息をする綾人さんにキスをする。 「んっ…ふ……」 「かーわいい。」 「い、いきなり何すんだよ?!」 だってどうしようもなく愛おしいんだ。 「愛しちゃダメですか?」 「……!!」 「ねぇ、ダメなの?」 「い…、いいに決まってんだろ!!俺以外愛したら許さないから!」 綾人さんは顔を真っ赤にしてそう言った。 俺は貴方以外愛せないのに。 いつか綾人さんの中にある不安も劣等感も全てなくなるように、これからも溺れるほど愛を捧げようと思う。 綾人さん、これからもずっと一緒にいましょうね。 そんな気持ちを込めて、俺はもう一度愛しい彼の唇にキスをした。 Fin.

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