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入院説明
「説明させていただく看護師の南香雅 です。よろしくお願いします。えーまずこれがー…クリニカルパスと呼ばれるものです〜」
「こうが?男なの?女だと…」
「人は見かけじゃ分からないものですよぉ」
3度目の診察日に診察室横の別室で呼び込みをしていたΩの看護師さんから机を挟んで向かい合わせで椅子に座り説明を受けた。
これと指差す紙にはだいたいの入院スケジュールが書かれていた
「まず入院初日…この日は〜オリエンテーションですね。簡単に身体検査等行いまーす」
独特な間延びした言い方でふわふわしたその人は続けた
「そして2日目からは段階的に発情促進剤を飲み…身体変化を観察です〜。個人差はあるけど…7日目には疑似的に発情期を迎えます♡ドキドキですねぇ。そして発情期を迎えると〜…っあぁっ」
看護師は腹を抱えてうずくまりもぞもぞと動き出した
「まずい…っ」
「南っ」
隣室の扉がガンっと開き主治医のおじさん先生が焦った表情で入ってきた
「抑制剤は!」
「まだ、先のはずだったので忘れましたー」
「致し方ないっ許せ!」
先生はためらいもせずに看護師に口づけた
「…ぁ…あん」
「これで少しはマシになる。落ち着くまで病院にとどまれ。いいな」
「はい」
衝撃の光景に睦月はあんぐりと口を開けて2人を見つめた
「発情期が恐ろしいのは分かったかな?江東くん。通常ですら隣室にいるαを誘う。薬で初発情期を迎えさせるのはリスクが高いんだ」
「分かり…ました。治したいんで頑張ります」
入院を決めた睦月は机に置かれた書類にサインした。
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