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皆、達者で
毎日毎日、卑猥な勤めや両国の話し合いをし、口からも後口からも、精の匂いがしそうな程咥えさせられた。
それでも皆と共に励まし合い、命ばかりはと感謝しながらふた月程過ごした頃だ。
「貴方様の近侍はお年を召した方ばかりだ。慣れぬ土地で暮らすのは可哀想だ。どうだろうか、わしの侍従を付けて差し上げようか。」
宰相から、とんでもない提案があった。
「そんな…、か、彼らがいなければ…。」
「なんと、わしの侍従ではご不満か。」
「い、いえ、た、ただ、慣れた者が…、、。」
そこまで考えて、スウェインは口をつぐんだ。
いや…、、泥を被るのは、私だけで良いのだ。
「…いえ、あ、ありがとう、ございます。どうか、よろしくお願い申し上げます。」
もう、この世に未練など…、クイード…。
そして、
「皆、達者で。私は元気にやっていると、父に伝えて欲しい。皆の様子を手紙をおくれ。」
「スウェイン様…、どうぞ…、どうぞ、お元気で…。」
その翌々日には、近侍から護衛まで1人残らず帰国の途に付いた。
宰相の前では、皆、ありきたりな別れの言葉しか言えない。
アンデルセンは、奴隷となっても帰らないと言い張ったが、国の為なのだと説き伏せた。
それでいいのだ。
そう、それで、…いい。
侍従達の後姿を見えなくなるまで見送った肩に、指輪の沢山付いた手がおかれた。
「悲しむ必要はない。わしがおりますからのう。なんでも言うと良い。さあ、体が冷えていますぞ、すぐにもっと暖かい服を用意しましょう。」
「あ、ありがとう、ございます…。」
これからは、服さえ自由にならなくなった事を知る。
用意された服は、確かに暖かい布地の服だった。
が、卑猥な下履きをはかされ、インナーは透けた生地。
下衣は腰から吊り下げるようなもので、股間を隠さない。
左右の肩から2枚の長い布のような上衣がふんわりと覆い、それを宝石の沢山着いたベルトで緩く止めるだけ。
「お似合いですよ。やはり貴方にはあのような無骨な軍服ではなく、こういった華やかなものが似合う。」
「あ、ありがとう、ございます。」
スルリと、脇に開いたスリットと中央の合わせ目から、手が入り込む。
「あ、おやめ下さい。このような所で…。」
「ああ、なんと滑らかな。これで貴方の仕事もしやすくなりますな。」
静止など薬味に過ぎないとばかりに、内腿から鎖骨まで撫で回された。
「し、仕事を、しょ、書類を…。」
「それはもう良い、他の者にやらせます。お忘れかもしれないが、貴方の一番の仕事はわしを楽しませ、疲れを癒す事ですからのう。」
「…な、何を、すれば…。」
「簡単な事ですよ。わしの言う事を聞けば良いのです。その代わりに要人と会う時も貴方を連れて行くとお約束致します。どうかな?」
耳元で囁かれ、キツく抱かれる。
尻に当たる硬いモノが、これから先のスウェインの仕事が更に淫猥なものになる事を物語っていた。
どちらにしろ、選択肢など無いのだから…。
それに、要人との面識を得るのは、重要な事だ。
国の為…。
「…分かり、ました。よろしくお願いします。」
「お分かり頂けて良かった。無理矢理させては不憫なのでねえ。それと、王子とは言え、わしの下で政治のなんたるかを学ぶのだ。わしを慕い、尊敬するべきだと思うが如何かな。」
「そ、その、、通りでございます…。」
血を吐くような言葉を口にする事も、いつかは慣れるのだろうか…。
「ならば、わしの近侍にしてあげよう。」
そんな……、それでは、休まる時が…。
グッと奥歯を噛み締める。
「…、あ、ありがとう、ございます。」
「これからはわしの側で寝起きなさい。わしが立派な王子にして差し上げますからな。」
「…よ、よろしく、お願い…申し上げます…。」
「ご心配なさるな。一日中という訳ではない。貴方の部屋もご用意しましたからな。」
その言葉に幾分ホッとしながら連れて行かれたのは、宰相府の最上階だった。
目立たないが賓客の間の隣で、付き従って来た貴人の為の部屋のひとつだろうと思われた。
「さあ、ここが貴方の新しい部屋です。広くて明るいでしょう。」
最初に与えられた部屋よりも、格段に豪華な部屋だった。
「如何かな?王子に相応しい部屋でしょう。この者達が貴方の侍従を務める。さあ、部屋を案内しよう。」
侍従を5名紹介され、尻を撫でられながら部屋を歩く。
南向きの、広く明るい部屋。
寝室と居間が別になっていて、広いソファはもちろん、ダイニングテーブルや書斎、バーカウンター、広いバルコニーまである。
広いベッドは5人並んでも眠れそうだし、寝室の隣には風呂もあった。
本当に客室を一部屋与えられたようだった。
部屋付きの奴隷が5人、跪いていた。
「貴国で生まれたという者達です。」
片手が無い者や義足の者、酷い傷跡を残す者達だった。
「彼等は先の戦で敵前逃亡した罪をここで償います。なに、心配はいりません。ちゃんと躾けてございます。貴方はシナラスの王子ではあるが、ワシを尊敬し仕えたいと望んだのだ。危害を加える事は、ワシの顔に泥を塗るのと同じですからなあ。」
「あ、ありがとうございます…。心してお仕えさせて頂きます。」
「おお、ではまずは、そうですな、不要な毛をすべて剃り落としなさい。」
「そ、そんな…。」
その言葉が、頭に入って来なかった。
それは、性奴隷に施される処置だ。
「私は、奴隷では…、て、剃毛は、あの…。」
「動かれますと怪我を致しますし、怪我をさせた奴隷の首が締まりますぞ。」
「そんな…、そんな卑怯な…。」
「お優しい王子よ、暴れなければ、毛を剃られるだけの事。ああ、肌の様子を見て、生えなくなる薬も塗りましょうなあ、ヒヒ。」
それでは、まるで、性奴隷そのもののような…。
……、いや、違わない。
犯され、奉仕させられ、否と答えれば酷い罰がある。
実際に、、私は、この男の性奴隷なのだ…。
私に、どんな選択肢があろうか…。
スウェインはグッと唇を噛んだ。
「わ、分かりました…。」
「ほほう、やっと素直におなりになったか。さあ、やりなさい。私は仕事をしてこよう。」
着せられた服さえ脱がされ、足の先から爪の先まで刃を当てられた。
そのまま冷たい薬を塗られる。
「この処置は10日に一度。宰相様は体毛がお嫌いですので、伸びて来た毛が無いか、毎日確認する事になっております。」
まるで、決定事項のように、侍従の1人が言った。
スウェインの侍従だと紹介されたが、やはり監視する為に貼り付けられた者達だったのだ。
アンデルセン…、パンケーキのレシピを貰ったけど、作って貰えそうもないよ…。
よく晴れた空の下、祖国へ向かった者達に思いを馳せる。
シワの増えた優しい顔が、もう懐かしく思えた。
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