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②
「……、何それ……どういうこと?」
思わず漏れた普段より数段トーンの低い声に、自らも驚く。自分より、彼の方が思わず目を丸くし、顔から表情が抜け落ちていた。
言ってはいけないことを言ってしまったと言わんばかりに口許を抑え、ばつが悪そうに俯いてしまった。
「!、……ごめ、なさい……礼央……」
「謝らなくてもいい、どういうこと?それ……恋人のことは全部知りたいよ、当たり前でしょ……?」
「……、」
「そういう言い方されると、俺たちの付き合いが遊びみたいじゃん……ねぇ、」
「っ、そういうつもりじゃ……」
彼は此方に首を向け、瞳に少しばかり涙を溜めて僕の服の裾を強く掴んだ。
元より、彼があまり僕のことを愛していないのか、つい普段の毒舌が出てしまったのか、そんなことはどうでもよかった。言葉の意味はどっちでもいい、そう自分に必死に言い聞かせないと、自らの愛情と言う名の執着心があまりにも滑稽で、羞恥を覚えそうになる。
ついスマートフォンを床に突き飛ばしてしまい、其れが床に落ちる音も聞こえず、何故か震える指が煩わしくて、つい真っ白なシーツを強く掴んだ。
彼は不安と困惑と恐怖が入り交じった表情で僕を見つめ、今にも泣き出しそうだった。溜まっていた涙が目尻を伝い、白いシーツにじわりと染みを作る。
「怒ってないよ、イリヤ……そんな顔しないで」
「……礼央……、」
「でも、ほんのちょっと……ちょっとだけ、そういう言い方はダメだなって思ったから、コレ……付けて」
一旦、強く掴みすぎたシーツから手を離し、彼の傍を離れる。ベッドから降り、傍に置いていた自らの鞄の中からある物を取り出した。
今日は元々此処で会う予定だったため、予め用意していた其れ等全てを一つ一つ取り出し、ベッドの上に並べる。
彼はその様子を眺めていたが、ある物を見せびらかした瞬間に目を丸くし、息を詰めた。
「……待って、それやだ……!!」
「前つけるの失敗しちゃった貞操帯、今ならいけるでしょ?勃ってないし」
「、そういう問題じゃ」
彼が頑なに否定する其れ、いわゆる貞操帯を彼の目の前に出す。以前持っていた物とは別で、金属製のケースがついた本格的な仕様のものだ。其れの鍵を外して目の前に放り投げる。
彼が横たわるベッドに乗り上げ、彼の脚を持ち上げて間に腰掛けた。
彼は唇を噛んで、涙を零し、嫌だと否定し続ける。
貞操帯を付けることを尽く嫌がる彼に、此方が無理やり付けるのも悪くないが、仕置きとして早く自分の立場を解らせたい思いが先行し、つい放り投げた其れを右手に握らせ、自分で付けろと言わんばかりに貞操帯ごと手を握った。
「何?俺の事だけじゃなくてこんなことも否定するの?」
「っ……、付ける……」
「あはっ、初めてだね……俺にこんなに従順なの……かわいい、イリヤ」
彼は震える指で下着を両脚から抜き、貞操帯の輪の部分を開き、すっかり萎えてしまっている陰茎を金具の中に収納する。下にぶら下がる睾丸も輪の部分で固定し、鍵を掛けようとしているがなかなか手を動かさない。
「……れお、やだ……、鍵……かけたくないの……」
「それじゃ意味ないじゃん何言ってんの」
鍵を掛けることを拒否する彼を無視して、容赦なく南京錠を閉める。
彼の絶望に染まった表情を一瞥し、南京錠の鍵をポケットに仕舞い込んだ。
「……かわいい……イリヤ、……」
「っ、やだ……こんなの……」
「イリヤの立派なおちんぽ、ガッチガチに縛られてるね……えっろ」
「そういうの、言わないで……」
「あ!あとこんなのもあるよ、見て見て」
「……は?」
先程鞄から出した大人の玩具達を彼の目の前にわざとらしく見せびらかす。薄ピンク色のローター、男性器を模したバイブを見せると、彼は表情一つ変えずに声を漏らした。
「そんな恐い反応しないでよ……これも前使いそびれちゃったやつだよ」
「そういう反応にもなるわよ……!何よコレ!」
「大人の玩具だよ」
「知ってるわよ!」
「今から全部使おうと思って」
「はぁ!?さすがにそれは怒るわよ!!」
自らの立場の分かっていない彼は声を荒げ、僕の腕を掴んで抵抗するが、そんな権利を与えた覚えはないと言うとすぐに黙りこくってしまった。
先程と違い、一切抵抗の意を見せなくなった彼が纏っていた服を全て脱がし、貞操帯以外は何も纏っていない姿にさせる。
彼の股ぐらを持ち上げ、指にローションを絡めて後孔に沈める。乱暴に動かせば、彼は腰をビクビクと震わせて甘い声を漏らした。
「っ……♡んッ……く……ぅ、っ♡」
「可愛いねイリヤ、お尻ひくひくしてるよ」
「ん、ッ……やだ、ぁ……っ、ゆび、やだ……ッ、」
「じゃあローターから入れるね」
「えっやだちょっとまっ、……んあぁッ♡」
先程彼の目の前に出した薄ピンクの其れを慣らした後孔に沈める。指である程度押し込んだ後でバイブを沈め、両方の機械のスイッチを入れる。腰をガクガクと上下に揺らし、喉奥から喘ぎを漏らしてシーツを強く掴む彼の姿をただ眺めていた。
「あはっ、気持ちよさそーだねイリヤぁ……俺のおちんぽじゃなくても気持ちいいんだ、嫉妬しそう」
「あ゙、ぁ、ァッ、なかぁ、まってぇ……うごいてりゅの……ッ、らめぇ……こんなのッ!こんなのやだぁッ!いぎたいのぉ……ッ!おちんぽいぎたいぃ……!!」
彼ははしたない喘ぎ声を上げながら貞操帯に手を掛け、泣き喚きながらシーツに爪を立てている。顔つきやヘアスタイルが可愛い女の子のそれなのに、男の象徴を封じられた上に排泄に使う孔に異物を仕込まれ、快楽を覚えて狂ったように嬌声を上げる姿は自らの加虐心を存分に刺激した。
先程突き飛ばしてしまった、床に転がるスマートフォンを拾い上げ再度カメラの機能を起動させる。彼の首を掴み、無理やりカメラの方向に向けた。
「ねぇこっち向いてイリヤ、カメラ見て」
「なに……っ!?とって……」
「そりゃ撮るよ、これが目的なんだから」
「ッ、なんで……」
彼は困惑した表情で僕を見つめていたが、後孔に埋めていたバイブを膝で強く押し込んだ瞬間に高い喘ぎを上げ、抵抗の意を見せなくなった。
そんな彼に引き続きスマートフォンを向け、話し掛ける。
「イリヤぁ……俺、イリヤにずっと訊きたかったことがあるんだけど……」
「……、なに、っ」
「俺と付き合う前、何人の男に抱かれてたの?」
「ッ……!?」
「何人?」
「……覚えて、ないわよ……ッ、そんなの……!」
「覚えてないの?覚えきれない数の男に抱かれてたんだね……?ねぇイリヤ、」
此方から目線を逸らし、上半身を捩りシーツに顔を埋めようとする彼の右腕を掴む。腕をベッドに押し付けると、逃げようと腰を浮かせた為、先程同様にバイブを膝で押し付けた。
「ッ!やめてッれお!あしで、おしこまな、ひゃぅッ♡あぁんッ♡おくぅッ……やだぁッ♡」
「ねぇ、こーやって……俺の知らない男にいじめられたせいで、こんな玩具なんかで女みたいな声上げて、恥ずかしい姿撮られて気持ちよくなって、……ド変態になっちゃったんだね……?」
「んあっやだァ!ゆるしてぇ……ごめ、なさ、れおッ、こんな、のっ、やだぁ……!」
快楽に溶かされた甘い声を上げながら、否定の意を伝える彼の姿をスマートフォンの画面越しに見つめる。
自らも本当は彼の泣き喚く姿を見て勃起しているが、必死に彼をめちゃくちゃに犯したい気持ちを抑え、言葉を絞り出した。
「俺も嫌だよ、俺はこんなにイリヤのこと愛してるのに、遊びだと思われてる……本当に俺好きなんだよイリヤのこと……じゃないとこんなイリヤの姿見て勃ったりしない……、早く挿れたい……でも、俺のことイリヤ分かってくれないから……反省して、あれだけ俺の事誘っといてここまで好きにさせといて、遊びなんて絶対に許さない……」
ベッドに抑えつけている彼の右腕から手を離し、後孔に挿入したバイブを出し入れする。ぐちゅ、ぬちゅ、とわざと音を立て、後孔から泡立つローションか溢れ出る様子を撮影する。
自分以外のモノを埋められて甘い嬌声を上げ、快感に涙を零しながら身体を震わせる様子を見ていると、興奮より苛立ちが募ってしまう。
「……、こんなので……気持ちよく、なるんだ……、イリヤ……俺のより、いい反応してる……、」
「っ、そんな、ことな……ぃ……!」
「……、そう?」
「、れお……っ、れおが……そーやって、あたしの……ッ、いーとこ……いじめる、からぁ……ッ♡、だめなの……ッ、あたし……もぉ、らめぇ……ッ♡」
「何がダメ?俺以外のモノで虐められるの嫌?」
「やだ、やだァ、ッ!い゙ぐ……ぅ、こんな、の、で……いぎたぐ……なぃ……ッ、やだぁ、やだ、ぁ、あぁあ゙……ッ、」
上半身を捩り、近くの枕を寄せ、顔を埋めて喉を枯らす彼の姿をくまなく撮影し、快楽に溺れているはずなのに抵抗の意を伝える彼の耳許に唇を近づける。
「ねぇ、俺以外のモノでイってる姿見せて……怒んないから、気持ちよくって我慢できないんでしょ?」
「やだッやだいぎだくなッ、!」
「もう我慢できないくらい気持ちよくなってるくせに」
「いや……れおッ、やだ、いや……!」
「イリヤ、俺の目の前で……女の子みたいにイってるとこ……見せてよ、お願い」
「っ、せめて、ッ、かぎ……はずして……っ……」
「やだ、女の子みたいにイくまで外さない……ほら、はやく中でイってみて……」
彼の貞操帯と今にもはち切れそうな睾丸を優しく撫で、先程よりも激しくバイブを出し入れする。勢い余って抜いてしまい、抜けた後の後孔に目をやると、ぽっかりと開いた其処から泡立つローションが流れていた。
随分奥まで入り込んでしまったローターをゆっくり引き抜いて、泡だらけになった其れを退けて再度バイブを挿し込む。彼の反応を窺いながらある一点を探し、一際高い声を上げたタイミングで其処を重点的に責めた。
「すっご……女の子のモノみたいだね、ここ」
「あ゙!ぁッ!まっ、れおッ!なか、まっ……あ゙ぁ……!ひぅ、うぐ、ッ、らめ……っ♡」
「かわいい、イリヤ……もっとたくさん可愛がってあげるから、ね……いっぱい……イこ……?」
バイブから手を離し、彼が顔を埋めていた枕を無理やり奪い取り、ベッドの外に放り投げる。
目に涙を溜め、絶頂間近の快楽に打ち震える彼の胸の突起を左の人差し指で乱暴に引っ掻くと、背を弓なりにして喉奥から嬌声を上げた。
「ひぁッ……まって、ちくび……やだっ、まって!」
「嫌じゃないでしょ、ねぇ……かわい……こんなに固くなってる……」
「あ゙……あ゙ッ、あぁあ……やだァ……!いぎだぐな……ぃ……!いやぁ……れおの、れおのじゃ、ないと、やだぁ!おねが、ぃ!だから、ぁ、あ゙ぁーーーーッ……!」
彼は背を弓なりにし、腰をガクガクと揺らし絶頂を迎えた。
暫くの余韻の後、涙を零し、シーツに顔を埋めて息を整える彼の頬を撫で、此方に向けようとするが、頑なにシーツから顔を動かさない。
「……イリヤ、こっち向いてよ」
「……、やだ、やだ……ッ、」
「なんで……かわいかったよ、イリヤ……」
「ッ、ちがう……、こんなの、やだ……こんなので、いきたくなかった……のに……、」
「でも気持ちよかったんでしょ?俺のがなくても、いーんだね……」
「ッやだ!やなの……!れおのじゃ、なきゃ……やなの……礼央、……ごめ、なさい……、ゆるして……れおの、いがいで、きもちよく……なりたく、ない……」
「……、そっか、」
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