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出会い アスミ2

 「えぇっ??!ちょ、ちょっと待って??俺、探索魔法でサーチしてたのに?!あっ!!もしかして、しゅ、瞬間移動??そんなの魔王様レベルじゃないと使えないはず・・・?って、ケンショ・・・ゲフン、ゲフン、いやいや、本物の山狼族っ?!!」 心構えをしていたはずなのに。いきなり現れたケンショーさんを前に、俺はめちゃくちゃ動揺してしまった。思わず名前を呼びそうになったよ。 だって、この世界のケンショーさん、アッシュグレーというより銀色に近い髪は前世より長く、更に高い位置でのポニーテール。目もグレーというか銀色っぽく、シンプルな木綿の上に毛皮を羽織った姿は狩人みたいで・・・何て言うかワイルドさに磨きがかかって超カッコいいんだよっ!!しかも色気がハンパないんだからっ!!! 「おう!オレはいかにもその山狼族だけど。黒猫ちゃんは若いのに山狼族知ってんの?光栄だなぁ。オレら、絶滅寸前でもう魔族にもほとんど忘れられた存在だぜ? あっ、オレの名前はケンショーな。で、こっちは契約精霊のリュー。黒猫ちゃんの名前は?あぁ、完全憑依は解いたら?その状態でも魔族の姿でもオレには大差ないよ? 魔族のかわい子ちゃんと精霊の黒猫ちゃんを別個で見てぇし」 確かに魔力の差があり過ぎて、アスミイでも逃げられそうにない。俺は素直に完全憑依を解き、アスミとミイに戻った。 突然の登場と見た目のインパクトの衝撃からやっと立ち直った俺が、マジマジとケンショーさんを見つめていると・・・ パチンとウインクしやがったよこのおっさん!!! ノリ軽っ!!一応、世間から隠れて暮らしている部族の長だろ?!その軽さ、前世のまんまじゃねーか?! 「・・・俺はアスミ。こっちは契約精霊のミイだ」 「アスミちゃんかぁ!うん、うん、名前まで可愛い。やっぱり猫耳がなくてもかわい子ちゃんでオレ好みだわ~ おっ?うはは!リュー、手が早いな。もうミイと繋がってるのか?」 ええぇっ??! いつの間にかミイがフラフラとリューの元へと飛んで行き、ミイの三倍くらい大きな銀狼の背にペッタリとお腹をつけて倒れこんでいる・・・何かミイがフニャフニャになってないっ??! 繋がってるってどういう事?! 「ちょっ、ミイに何したんだよっ?!」 「ん?あれじゃね?精霊同士の精神的な交尾。まっ、心配しなくても、精神的に繋がればお互いの気持ちに嘘はつけねぇから、無理強いは絶対にない。 精霊は惹かれあったなら素直に繋がるもんだ。で、無理だと思えばすぐに離れる。 つまりリューとミイはお互いに一目惚れって事なんじゃね?おそらく番だろうな。精霊も本能で自分の番が分かるみたいだから。 まっ、精霊の恋愛に契約者が口出しする権利はねぇし。オレはリューの番がミイなら大歓迎だ。 んで、アスミちゃんはオレの番な」 何か最後にサラッと聞き捨てならない事言われてねーかっ?? 「いやいやいや、魔族に番の概念はねーよな?!ドラゴン族じゃあるまいし。 俺、あんたが番だとか全く思わねーからっ!!」 「うはは!オレの番はつれないねぇ!そんなとこも可愛いけど。で、魔族に番の概念がないのは知ってるが、山狼族は番が分かるぞ?全員じゃねぇが長は確実にな」 ・・・俺、小説でそんな設定してねーんだけど? 「なんで?山狼族も魔族だろ?」 「そこはほら、狼だから。動物の狼も一夫一妻で番と一生を共にする。けど、猫科動物はそうじゃない。だからじゃねぇかな?」 ケンショーさんの言葉に納得してしまった。確かに狼は一生連れそう。 けど、そんな会ってすぐに番とか言われても・・・俺のこと全然知らないくせに。可愛いと言われても、見た目だけで判断されているようで嬉しくない。 そう、俺は前世でもケンショーさんを信じきれてなかったんだ。軽い調子で口説かれて、俺以外にも同じように口説いている場面を何度も見て・・・ そんなの信用出来るはずがない。 「狼が一生連れそうのは知ってるし、山狼族に番がいるのも理解した。けど、俺はあんたの番なんかじゃない。いきなりそんな事言われても信じられるわけねーだろ?!俺はあんたなんかに運命は感じねーよ。 大体、狼は狼同士で番うもんじゃねーの?!」 何だかムカついて来たから、しっかりとケンショーさんの目を見つめながら、そう言い切った。 「・・・ふうん?アスミちゃんは、俺が信用出来ないだ?」 そう言ったケンショーさんは・・・おもむろに俺を抱きしめ・・・・・・喰らい尽くすようなキスをして来た。

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