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現在の山狼族 アスミ1

 ・・・え~っと、何??何なのこの状況ぉっ?!! 目を覚ました俺の顔を、真横でじっと見つめる銀色のナイフみたいな鋭い目・・・なのにどこか優しげで・・・しかもこれ、腕枕なんかされちゃってますぅっ??! いたたまれなくなって目を逸らすと、自分が着ている服が目に入る。ん、んん?俺こんな服着てたっけ?・・・えっ?うそっ??こ、これってケンショーさんの服じゃねーの?ブカブカだし。 しかもこれしか着てないっぽいっ?!! いわゆる彼シャツってヤツですかっ??! 色々パニックになり、とりあえず起き上がろうとしたら、抱きしめながら押さえ付けられ変な声が出た。 「ぐぎゃっ!!!」 「うはは!『ぐぎゃっ』てアスミちゃん、黒猫じゃくて実は魔鳥かよっ?!」 「アホかおっさん!!痛てーわ!んで近い、近すぎるっ!!」 「あんなに深く愛し合った愛おしい番と引っ付いて何が悪い?むしろ挿れっぱなしじゃない事に感謝してくれ」 「はぁっ??!アホかじゃなくて完全にアホだろうが!このクソ変態狼っ!!」 「・・・本気で我慢したんだが?そんな風に言われるんなら欲望のままに突っ走れば良かったな。寝落ちしたアスミちゃん相手に抜かずの三発は余裕だったぜ?で、そのまま挿れっぱなしで寝る、と」 「うっ!!・・・い、いや、それはやめてくれ。あ~我慢して偉いぞおっさん」 「名前で呼べよ。じゃなきゃ次寝落ちしたら挿れっぱなしな?」 「・・・・・・ケンショーさん・・・」 「うはは!いいねぇ。オレの番は最高に可愛いわ」 そう言って俺の頭をワシワシと撫でるケンショーさんを軽く睨みつけるも、内心では好きが溢れて止まらない・・・なんだよもうっ!俺チョロすぎねー??! あんなセクハラ発言されてるのにっ?!  とにかく、ケンショーさんときちんと向き合って話しをする為、何とか気持ちを落ち着かせるよう努力する俺。 「なぁ、ちゃんと話をしよう。とりあえず起き上がりたいから手を離して?」 俺の真面目な顔を見て、しぶしぶといった感じで拘束の手を緩めるケンショーさん。 すかさず身を起こした俺は、ベッドに胡座をかいて座る。あっ、俺下履いてないんだった・・・けど、ケンショーさんの木綿の服が大きいので上手く下半身を隠してくれていた。良かった! 俺に合わせて胡座をかくケンショーさん。こっちは下だけ履いてる。ほどよく筋肉がついた細マッチョな上半身に目が引き寄せられるも、何とか逸らしてツリーハウスの中を見渡してみる。 ふかふかの絨毯の上で寝そべったリューの背中に、フニャフニャになったミイがペタリと貼り付いているのが目に入ったが・・・うん、見なかった事にしよう。 そして銀色の目にしっかりと視線を合わせる。 「なぁ、山狼族の事を教えてよ。俺、魔族学校を卒業してから、休みの日はずっと山に入ってた。山狼族を探す旅に出てたんだ」 「ふうん?今どき珍しいな?」 「元々魔族以外の民族に興味があったんだけど、人族とドラゴン族の友だちが出来たらなんか満たされてさ。同じ魔族なのに犬科動物を契約精霊に持つ幻の部族に心惹かれるようになったんだ。」 「・・・オレと番になる為に山狼族を探してくれてたんだな」 「っ?!違うわっ!!あんたの事なんか今日まで知らなかったし、んなわけねーだろうよっ!!」 「まっ、それでも何か感じるもんがあったんじゃねぇの?番ってのはそんなもんだ。オレもこの山峡に留まった方がいい気がしたのは、アスミちゃんが探しに来るってどこかで察知してたんだと思うぜ?」 うっ!それは俺が前世でそう設定したからなんだけど・・・ 「で?山狼族の何が知りてぇんだ?幻のとか言われてるみたいだが、人数が少なくなっただけで別にそこまで隠れて暮らしているわけじゃねぇぞ?オレも時々街に行ってるし」 「ええっ?!リューを連れてたらバレるよね?そんな噂聞いた事ないけど??」 「あぁ、憑依してフードと長めのマントを羽織ればそうそうバレる事はねぇよ」 なるほど。憑依してたら耳と尻尾さえ隠せば普通の魔族と変わらないか。チラッと見えたぐらいじゃ、猫科動物か犬科動物か分からないだろうし。 「ええっと・・・じゃあ、今、山狼族は何人いるんだ?」

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