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ツリーハウスで アスミ3*
そうして目が覚めると、ナイフみたいな目がまたもや優しく緩んだ状態で俺を見つめていた。
「おはようアスミちゃん。」
「・・・あのなぁ、会ってすぐにあれはねーだろ。がっつきすぎだ。」
「ん~昨日一日、会いたくて会いたくて堪らなかったからな。だって、ようやく会えた番だぜ?一週間くらいここに篭りたいくらいなのに。今だって、アスミちゃんの中に一回しか出してないし・・・」
「あーもうっ!分かった分かった!もういいから!!」
いかん、いかん、このままではここにしばらく監禁されそうだ。
俺は山狼族の集落に行って、他のみんなにも会いたいんだよっ!
「なぁ、俺覚悟出来たよ。ケンショーさんの番として山狼族の集落に連れて行ってくれ」
「マジかよっ?!決断が早ぇな・・・何て言うかアスミちゃん、見た目より漢だよなぁ・・・」
そういえば前世でもそんな事言われたな。トワの方がよく言われてたけたど。そういう所も似てるってルイが言ってたっけ?
「グズグズしててもしゃーねーだろ?あんたの言う通り俺たちは番なんだろうよ。俺も運命だと思ってる。で、俺は山狼族に昔から興味があって、集落にも行きたい・・・なら、何を悩む必要がある?」
トワとルイに会って話をして、決意は更に固まったしな。カグラ様と前魔王様という最終手段もある。
「だがなぁ・・・アイツらにアスミちゃんとミイの事を話したんだが、やっぱり長老とシーナは大反対だ。トシもまぁそっち側だな。シーアとヨシは会ってから判断すると言っていたが・・・絶対に嫌な思いをするぞ?」
「んな事は分かってるよ。今までの山狼族だけでの暮らしの中に、異物が入り込むんだから。
閉鎖的なのも当たり前だと思う。
けど、それでも俺は山狼族のみんなと仲良くなりたいし、その努力もする。で・・・番としてケンショーさんの隣に立つんだよ」
そう言い切った俺を、目を丸くして見つめるケンショーさん。
「何というか・・・やっぱり漢だわ。何回目か分からんけどまた惚れたわ。アスミちゃん、いや、漢にちゃん付けは似合わねぇな・・・アスミ、山狼族の集落へ一緒に来てくれ。だが、無理をするな。オレも最大限に守るが、何かあればすぐにここに戻って来るからな。無理なら遠慮なく言ってくれ。
よし、じゃあ行くか!と言いたい所だが・・・アレはどうする?」
ケンショーさんの視線の先には、リューの上にフニャフニャになって貼り付いているミイの姿・・・流石に今回は見なかった事には出来ねーな。
「ミイ!山狼族の集落に行くぞ。ミイも行きたがってただろ?ほら、リューもミイを解放して!」
「ふにゃ~ん!!リューがまたしつこいにょ~」
「なぜ番と繋がるのをやめなきゃならんのだ?私はアイツらを牽制する為にもこのままで良いと思うが?」
リューの言う事も分かるけど、流石に初対面で公開SEXはなくね?いくら精神的な、といってもさ・・・
「おっ!それもそうだな。オレらもヤリながら行くか?」
「アホかっ!!いや、アホだ。何言ってんだこのくそエロ狼のおっさんはっ!!」
咄嗟にケンショーさんの頭を叩く俺。
「いてぇな~冗談じゃねぇか。
けどよ、それくらいのインパクトは必要かもな?はなから文句を言うつもりのヤツらの前に行くんだから」
「そうだとしても、エロ方面は違うだろ」
「ん~だが、オレたち山狼族にとって繋がるって事は、ものすごく崇高な行為とされてるんだ。
『山や自然と一体になる事で悟りが開く』と、山を崇拝する山狼族には教義としてそう伝えられているんだが、それと同様に精霊を通じて繋がる事も奨励されている。
性的な意味合いではなく、いろんな目を通して世界中の山を見、共感する事で自然に近づこう、ってな。
だから憑依して繋がり、お互いに共感し合うのは尊い行為。更にその最上級である完全憑依してのSEXは、山狼族にとってものすごく神聖な行為なんだよ」
ほう・・・なるほど。山狼族の宗教観が分かる興味深い話だな。
「て事は、だ。オレらも完全憑依してヤリながら行けばいいんじゃねぇか?」
・・・いや、違うと思う。いくら神聖な行為でも、初対面で公開SEXは無理。山狼族のみなさんも、長のそんな姿をみたいとは思えねーし!!
「私はそれでもいいぞ?」
リューも同意してんじゃねーよっ?!
しかも繋がってる最中なのに冷静だなっ?!ミイはあんなにフニャフニャなのに!
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