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山狼族の集落 ショーリュー
くそっ!アスミイのオレを求める心の声が強くなって・・・我慢が出来ない。
あぁ、キスがしたい。アスミイの唇を貪り尽くしたい。今日はもういいだろ?顔見せも済んだし、このままツリーハウスに瞬間移動で戻ろう・・・そう思いアスミイの腰に手をまわした瞬間、ヨシが話しかけて来た。
「長、おれとミックもアスミイを歓迎する。
おれはヨシ。で、こいつはリカオンのミック。よろしくなアスミイ。
アスミイが山と自然を愛しているのがよく分かったよ。もちろん長への気持ちもね。
逆に長老とシーナの考えは山への冒涜だ。そんな思想に付き合う必要はないよ。トシもシーナが好きなのは分かるが、すべてを肯定せずに間違いは正すべきだ。あいつも長老とシーナの考えには疑問を持っているはずなんだがな。」
ヨシもアスミイを認めてくれるのならありがたい。そしてトシが頑張ってシーナを落としてくれたらいいんだが。
「ねぇ、もう一度ちゃんと確認したいんだけどぉ、長はこのまま山狼族が絶滅してもいいと思ってるわけではないのよねぇ?」
シーアの言葉に頷く。
「あぁ、オレが生きている間は絶滅はさせない。逆にお前らがここを出たいと言っても反対はしないがな。オレは山狼族という部族に誇りを持っているが、それに縛られる必要はないと思っている。
だから山を下りたいと言うヤツらも自由にさせた。そして帰って来るのも自由だよ。オレがここに居るんだから。
ケンショーとリューは、アスミとミイと街で暮らすかもしれない。だが、昼間は山に戻って来る。一生な。
オレが生きている限り、山狼族は絶滅しない。そうだろ?
その間に部族数が増えるも良し、オレ一人になって命が消える時に絶滅するなら、それでも良い。どうなるにせよ、すべては山の意思だよ」
「・・・ショーリューは、ケンショーさんとリューは・・・最後まで一人じゃないよ。
俺がいるから。
俺は普通の魔族で黒猫だけど、山狼族だと認めて欲しい。俺たち二人で、ケンショーさんとアスミ、リューとミイに戻っても、二人と二匹で最後まで山狼族を守ろうよ」
アスミイが発した言葉とともに、嘘偽りない感情が流れ込んで来る・・・俺、本気だからね・・・ずっと一緒にいる・・・だから俺を山狼族だと認めて・・・
・・・ははっ!当たり前だ。とっくにお前は山狼族の一員なんだよ。全く、完全憑依するとデレしかなくなるな。嘘をついても分かるから当然なんだが・・・何と言うか可愛さの破壊力が・・・
「はいはい!二人の世界に入らないでよぉ。まぁ、繋がってなくてもあなたたちが何を思ってるのか丸分かりですけどぉ?
まぁ、それはそれで眼福・・・ゲフンゲフン。
でもぅ、長一人になんかならないからぁ。
わたしたちだって山狼族なのよぉ。それに誇りを持ってるからここに残ってるのぉ。
もしかしたら山を下りる事があるかもしれないけどぉ、それでも絶対長の元に戻って来るわぁ」
「あぁ、おれもシーアに同意するよ。おれは山狼族だ。ずっとな」
そんなシーアとヨシの言葉に柄にもなく感動してしまった。アスミイからも喜ぶ感情が伝わってくる・・・あぁ、可愛いくて堪らないな・・・本気でそろそろ帰りたいんだが・・・
シーアが話を続ける。
「それにシーナとトシも、長老だって山狼族である事に誇りを持ってるでしょぉ?むしろ持ちすぎてるからああなったのよねぇ。考え方の方向性が違うだけなのよぉ。
う~ん、長の去る者を追わず来る者を拒まないっていう信念にわたしは共感するけどぉ、シーナたちはそれがイヤなんでしょうねぇ。犬科の契約精霊を持つ自分たち以外認めない的なぁ」
「長老は特に犬科の契約精霊至上主義だからな。長老は長年その考えに凝り固まっているから難しいが、シーナの考えを変えられたら・・・どうにかならないもんか・・・」
オレがそう言うと、シーアが閃いた!とばかりに楽しそうに言う。
「シーナは以外と小さくて可愛いもの好きなのよぉ。ここには犬科の猛獣か大型犬の精霊しかいないから、猫ちゃんを見たら頑なな心も少しは緩むんじゃないかしらぁ?その方が話を聞くと思うのよねぇ。
だからアスミイちゃん、アスミちゃんとミイちゃんに戻ってみたらぁ?」
・・・ちょっと待て!オレはこのままツリーハウスに戻って、アスミイと精神的にも肉体的にも繋がる予定なんだが?!
わざとか?!シーアの嫌がらせなのか?
お前はオレとアスミイが絡むのを見たいんじゃないのかっ??
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