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こうせい
渡された名刺を見て目の前の男は目を輝かせていた。
本当にDomか?って疑いたくなるほどの優しい雰囲気と垂れた目。口元の落ちボクロが印象的だった。
その口が動くー
「こうせい…?きみもこうせいって言うの?」
「え?」
名刺を交換した相手が嬉しそうな声をあげて話しだした。
「あの…ゆきなり。ぼくは澤木幸成 です…えと、これこうせいって読むんですね」
「そ。健康に生きると書いて康生。きみのは幸せが成就だね?今回のお見合いパーティーで素敵なパートナーが見つかって名前どおり幸せが成就するといいね」
「お時間でーす。Domの皆さまは右周りにひとつずれてください」
司会の男性の声が響く。
「またね。幸成くん。指名してくれたら嬉しいな」
「…?」
また…の意味は?指名って…
このパーティー、初心者の幸成は首を傾げた。
正直、乗り気じゃない。
将来を心配した親に無理矢理連れてこられただけ。
そしてその意味はぐるっと一周挨拶タイムが終わり、お試しプレイタイムの時に理解した。
「それではみなさまぁ。ぐるっと一周おつかれさまでした!いまのところ気になる人はいましたでしょうか?今からお待ちかねお試しプレイタイムのお時間ですっ。ただし、エッチなことと暴力は続きはお付き合いしてからね♡と言うことで、禁止しておりますので悪しからず」
おためしプレイ…
おためしプレイ?って聞こえた気がする
まさか…っ
「Subのみなさまは気になるお相手さまの番号は書けましたかぁ?スタッフにメモをお渡しくださぁい。もちろん白紙でも大丈夫でございます。その場合、スタッフがタイプの違うDomの方を見繕わせていただきまぁす。お試しプレイまで今しばらくお待ちくださいませ」
やっぱりおためしプレイ…
嘘でしょ…そんなの聞いてなーいっ
まだ、あの時の傷も癒えていないのに…もし変なのに当たったら…
正直、何番か誰かなんて覚えてない…
こうせいって言う人は一見優しい雰囲気だったけど、裸になれば分からない…
Domなんてどうせみんな一緒
怖いことしかしない
幸成は心臓をバクつかせながら白紙のままメモを提出した
どうか、怖い人に当たりませんように
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