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新しい生活 12
「まさか、馬鹿でイかれるとは思わなかったな」
「う、うるさい! お前がいきなり名前で呼ぶから……ッ」
枕を抱きしめ顔を半分隠しながら、恨みがましい視線を向けるが、当の本人はどこ吹く風といった様子でニヤニヤと口元が緩んでいる。
「も~、マッスーどんだけだよ。マジ可愛くて辛い」
そう言って、ぎゅっと抱きしめてくる和樹に文句の一つくらい言いたかったが、幸せそうな顔で頬擦りをされるとそれ以上は何も言えなくなる。
そんな自分に呆れつつ枕を投げ捨てるとそっと彼の胸元に顔を押し付けた。
トクントクンと規則正しい心臓の鼓動を聞きながら、心地よい微睡みに身を任せる。
幸せだ。本当に幸せだ。こんなにも満たされた気分になったのはいつぶりだろう。
「……俺さ、心さえ通じ合ってれば、セックスは別に要らないかなって思ってたんだ」
正直な気持ちを吐露したら、和樹はきょとんとした顔をしてコチラを見た。
「あぁ、それ……前も似たような事言ってたよね」
「……知らなかったんだ。気持ちが通じ合ってスるのがこんなに気持ちいい事だったんだって」
照れ臭さから視線を逸らしつつ言うと、途端に和樹の顔がじわじわと赤く染まっていく。
「あのさぁ~、そういう可愛い事言うの良くないと思う」
「何でだよ」
「なんでって……ほら、こっち向いてよ」
和樹の手が頬に触れ、優しく撫でられる。
その心地よさに目を細めていると、そのまま引き寄せられてキスをした。
啄むような口付けは次第に深くなり、部屋中が甘い空気で満たされていく。
「……なぁ、和樹」
「ん? なに?」
「もう一回、したい」
透が誘うように首に腕を回すと、和樹は少し困ったような笑みを浮かべた。
「……明日、起きれないかもしれないよ?」
「いい。お前だってあれくらいじゃ物足りないだろう?」
ちゅっと首筋に軽くキスを落として擦り寄りそっと下肢に手を伸ばすとそこは既に硬く張り詰めていた。
その反応が嬉しくて指先でなぞるように撫でると、和樹は小さく溜息をついた。
「俺、マッスーの側に居たらずっと勃ちっぱだよ」
「……っ、それは困る」
クスクス笑いながら視線が絡み、どちらともなく口付けを交わす。
そして、お互いの欲望のままに再びベッドの海へと沈んでいった。
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