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2「故郷」と「業火」 9

 腰掛けたハヴェルと向かい合わせの膝立ちになり、育ちきって天を突く男根を、イルフィは自らの後孔の入り口に押し当てた。  窄まりに熱を感じるだけで、奥を犯される快感が呼び覚まされて、イルフィは早くも呼吸を乱す。 「んふ、ぅ……う、んぁっ……!」  じわじわ腰を落とし、焼けつくような肉棒を自重で腹の中に収めていった。  幾度交わっても拓かれる痛みと苦しさは慣れない。  だが一度オスの味を知ってしまった媚肉は、ずぶずぶとめり込んでいく男根を美味そうに食い締め、少し腰を揺さぶっただけでも痺れるような快感を背筋に走らせる。 「あっ、あっ……ふぁっ、あぁっ……」  蕩けていく己を恥じ、イルフィは腰を上下させながら下唇に歯を立てる。ジュプッ、ヌプッ、と尻孔から泡立つ水音が聞こえるのにすら煽られて、早くイってくれと思いながらも、もっと味わっていたいと、腰が淫らにオスの太さを貪る。 「そのまま、自分で胸を弄ってよ」  そんな恥ずかしいことを。眉根を寄せたイルフィの羞恥すら弄ぶように、ハヴェルは胸の色付いたところに指先でくるりと円を描く。 「ひうっ!」 「これだけでもう勃ってきてる。爪の先でコリコリすると……キュウッて尖って、ほらもう、吸えそうだよ」 「言わなくて、いい」 「じゃあ自分でしてみてよ。胸で感じるの、好きでしょ?」  その快楽を教えた張本人がせせら笑う。底なし沼のような真っ黒な――否、闇の中に血のような赤を混ぜ込んだ、毒々しい色の瞳で。  魔力を身に宿すとは、即ち魔物になるということだ。  先祖返りもあって元々魔物に近かった自分は、魔力を得ると同時に目が赤く染まり、肉体年齢が止まるほど一気に魔物化を遂げた。だがハヴェルは、『魔王』の魔力を封じるほどの術を使いながら、年齢を重ねるなど人間の形を保ったままでいる。  つまり彼は、半魔の血に秘められた魔力を解放しているものの、その力は微量で、魔物になりきってはいない。そのため乏しいはずの魔力を技術によって極限まで高め、魔物を討ち取ってきたのだろう。  眼前に突き出した胸に両手を這わせ、彼がしてくれたように指先でさわさわと色付いたところを撫でさする。 「んうっ……」  摘まんで繰り出した先端は、後ろの快感もあってピンと尖りきっていた。それを指先で揉み込んで潰すと、喉から甘えきった声が上がってしまう。 「あぁんっ……!」 「すごいよイルフィ。後ろ、すごく締まった」 「ああっんっ……ふ、う、んっ……」  後頭部の丸みを掴まれ、引き寄せられた口づけはすぐに舌を絡め合うほどに深まる。  尻と口とでハヴェルと交わりながら、乳首をいじめて浅ましいほどに快感を味わった。自ら腰を振り肉壁に男根をこすりつけるのは、この上なく気持ちいい。  気づけばイルフィの腰使いは性急さを増し、ハヴェルに見せつけるように胸の飾りを揉み潰しながら、あられもない声を上げて乱れていた。 「あっ、あんっ、ううっ、んあ、やあんっ……!」 「うん、イルフィ、うん……くっ……!」  ハヴェルが低く呻いた。  腹の奥で熱が弾ける感覚に、彼が絶頂に達したのだと察する。  だがその熱は精を吐き出したというのに硬さを失わず、ハヴェルはイルフィの腰を抱え込むと、繋がったままの肢体を地面に押し倒した。 「あ、そんな……っ!」  上から串刺しにするように、彼が腰を突き入れる。 「くっ、んっ、はあ、はああっ……!」  一突きですら重過ぎる衝撃が、何度も打ちつけられる。  突如牙を剥いた彼の激しさについていけず、イルフィは胸を弄る手も投げ出して、ただ息も絶え絶えに喘ぐしか出来ない。  情欲に濁りきって絡み合う二人の視線の間で、触れられてもいないのに反り返りつつあるイルフィの花芯がゆらゆら揺れていた。  イキたい、触ってほしい。無意識にねだる視線をイルフィはハヴェルに投げかけたが、彼は唇を一舐めして首を横に振る。 「今日はね、触ってあげない」  イルフィの紅潮した全身が、一瞬冷えて固まる。 「後ろだけで、イッてよ」  それはメスの極め方だ。それだけは今までしたことがなかった。  よぎる恐怖。同時に、底なしの快感に突き落とされることへの淫らな期待がイルフィを奮わせた。 「ひうっ!」  浅いところを、ハヴェルの太い先端が引っ掻いた。 「ここ? いいよ、たくさん、こすってあげる」 「や、やめっ、うああぁっ……!」  見つけた弱いところを先端で抉ろうと、ハヴェルは腰を抱え直して角度を定める。  イルフィの腰を壊さんばかりに絶え間なく打ちつけて、甘い責め苦でイルフィの中のメスを苛んだ。 「あうっ、あ、ア、あぁ――……!」  イルフィの思考はもう真っ白で、自分がどんな媚びきった声を上げているのかすら自覚出来ていない。揺さぶられる激しさのまま、凄まじい快感に噎び泣いた。 「だめ、そこ、だめ……ああぁっ、ひうぅっ……!」  何か恐ろしいものが腰から脳天に向けて駆け上っていく。  中空に投げ出したつま先が、三日月の形に丸まって突っ張った。 「いやっ、ああ、ハヴェル、ハヴェルぅ……あああぁああ……!」  頭の中で光が弾けると同時に、先走りに濡れそぼったイルフィの花芯から、あふれんばかりの白い蜜が噴き出す。  銀髪を激しく打ち振って乱し、泣きながら極めたイルフィは、無意識にハヴェルの名を呼んでいた。    ハヴェルは一瞬苦しそうに顔を歪める。しかしすぐ思い直したように、その黒紅の瞳を凍りつかせた。

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