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最終話 やっぱり僕はご主人様が好き

 僕をレイプした連中は全員逮捕された。しかし、困った事が起きてしまった。主犯の女がご主人様と僕の関係を警察に喋ってしまった。僕は早生まれでまだ十二才、そしてご主人様は十八才で成人扱い。そうすると、ご主人様は、たとえ相手の同意があったとしても十三才未満と性交をしたとして犯罪者になってしまうそうだ。  ご主人様は逮捕されてしまった。僕は事情聴取で警察に泣いて訴えた。僕からご主人様に近づいたこと。全て、僕、自ら望んでセックスしたこと、ご主人様から強制されたことは一度もないこと。心の底からご主人様を愛していること。  しかし、結局、強制性交等罪なんてものが成立。僕はご主人様に会えなくなってしまった。僕は毎日泣き続けた。ご主人様の人生をメチャクチャにしてしまった。兄もなんだか悪い事したような顔をしている。 「こんなことになるとは思わなかったよ」  母は相変わらず無関心だ。どうでもいいみたい。結局、ご主人様は執行猶予処分になったが、高校は退学処分になった。僕は申し訳なくてしかたがなかった。それに兄からショックなことを言われた。 「あいつ、頼まれたら断れない性格なんで、お前が必死な顔で抱き着いたから仕方がなく言うがままになったんじゃないの。あいつが男に興味を持っていたなんて信じられないんだよなあ」  ご主人様は、全部、僕に合わせていただけだったのか。けど、アナルプラグとかプレゼントされたことを兄に正直に言った。 「ネットで勉強したんじゃないのかな、勉強家だからなあ。お前もネットで知ったんだろ、いろんなこと。全部、お前のためだったとは思うけど」  そうだったのか。実際、全て僕の方が積極的だった。ご主人様から行動したことはない。単なる同情だったのか。がっかりした。そして、さらにショックなことを兄から教えてもらった。 「海外に赴任する父親についていくみたいだぞ、あいつ。外国で人生やり直しかな」  ああ、もう二度と会えないのかなあ、ご主人様と。  それから、僕は死人のようになった。ご主人様とデートした場所を歩き回る。幻みたいな時間だった。ご主人様に告白したマンション近くの小道。初めてキスしてくれた公園。遊園地にも入場料だけ払って入った。観覧車で抱きしめてくれた。そして、ホテルでのセックス。すべて夢のよう。 「元気だせよ」  兄にはそう言われたが、全然、元気が出ない。いまだに頭の中はご主人様のことだけ。もう、一生、ご主人様と添い遂げるんだ、一生、愛するんだ、一生、僕の身体はご主人様のものなんだ、たとえ二度と会えなくても。  僕の生活は元通り。母は僕に関心無し。兄は心配してくれるが仕事に忙しい。  そして、僕はご主人様のことを思って、オナニーをする。空しいけど。 「いっそ、他に恋人を見つけたらどうだ、相手が男でも女でもかまわないから」  兄にそう言われた。無骨な兄には珍しいな。  しかし、僕はご主人様と一生、添い遂げると決めたんだ。  他の人なんかとは絶対に付き合わない。  僕が愛する人はご主人様だけ。  僕を抱きしめてくれるのはご主人様だけだ!  そんな風に思いながら時が過ぎる。  半年が経った。  ある日、スーパーマーケットから帰ると僕の家の前に男性がいる。  ご主人様だ! 「ご主人様、どうしてここに」  どうやら、海外から一人で帰ってきたみたい。  日本で働くそうだ。  僕は気になっていたことを聞いた。 「僕と付き合ったのは同情だったのですか」  違うよ、本当に君のことが好きだったからだよ。逮捕されちゃったけど、全然、後悔してないよとにこやかに笑いながらご主人様は言った。 「本当に、本当ですか」  うなずくご主人様。  思わず僕は買ってきた食材を放り投げて、ご主人様に抱き着いた。  しかし、ご主人様に言われた。  「しばらくは単なる友人でいようね。また逮捕されちゃう」  けど、僕は今、十三才。刑法では性行為への同意を自ら判断できるとみなす年齢を「性交同意年齢」と定めていて、現行では十三才と規定。僕はご主人様とセックスできるんだ。僕はまたご主人様にやさしく抱いてもらいたい。愛してもらいたい。そして、僕はご主人様におねだりした。 「ご主人様の赤ちゃんがほしい」  それはさすがに無理じゃないとご主人様は笑った。 (END)

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