6 / 12

第6話

 誰となくゴクリと生唾を飲み込むような音が聞こえ、共同リビングには嫌な沈黙が流れる。  ただ、ここでプレートの文句に怖気づいて、やめるというのも何だか、気持ちの悪い感じがした。 「じゃあ、コマはどれにする?」  九岡が数分前にも言ったように、コマは淡い赤色に黄色、黄色みのある緑色、青みがかった紫色の4種類があり、それぞれ、六川、三浦、五島、九岡が手にとった。 「コマは決まったな。じゃあ、誕生日順で九岡、六川、五島、俺の順で」  4人とも浪人や留年していない為、3月5日生まれの九岡が1番誕生日が遅かった。その次に1ヶ月程前に誕生日を迎えた12月26日生まれの六川、11月1日生まれの五島、9月30日生まれの三浦と続く。 「良い目が出てくると良いけど……」  九岡は透明に透き通った6面ダイスを持つと、優しくカランと賽の目を振る。 「4か……」  何回転かし、賽の目が4を指している。九岡は紫に輝くコマを持つと、1コマ1コマと丁寧に進めた。  すると、何の変哲もなかったマスに文字が浮き出した。 「ただの紙じゃないのか?」  見た目は古い羊皮紙のようなマップで、マスにも文字は書かれていなかったにも関わらず、随分と凝った趣向がされているようだった。 「えーと、『緑色のコマを持つ者と握手をせよ』?」  緑色のコマを持つ者……つまり、五島だ。 「まぁ、握手くらいなら?」  と、五島も了承し、九岡は五島と握手を交わした。  男が2人で握手をする。何だか腑に落ちないが、できないことではないし、現にこのシェアハウスで初めて出会った時にしている。

ともだちにシェアしよう!