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(き、今日もいる…よね……) 気づかれないようすすすーっと後ろを見ると、細い電線柱に大きな影。 告白されてから、何故かもさ男に追いかけられるようになった。 でも、特に危害は無くただじぃっと見られるだけ。 (何なの本当……ってか全然隠れきれてないし。ストーカーするならもっと上手にしてよね、ったく……) 「どったの飴井ちゃん?」 「ん? なんにも〜」 気づかないツッチーも凄いよ、本当に。 「あ、俺今日用事あるんだった。ここでいい? 」 「えっ、そうなの? やだっ!」 「ごめんて! はい、飴ちゃんあげるから剥れんな」 「む〜」 両手を出すと、ポケットからいつもの飴がポロポロ乗せられる。 そのまま「じゃぁなー」と手を振るツッチーを見送った。 (どうしよう、まだ街中だ) さっき学校終わったばっかだし、帰るにはまだ早い時間。 誰か暇してる人いないかな? んんー探してみるか。 「こんにちは」 「ーーぇ」 ハッと前を見ると、いつかの微笑みかけたサラリーマン。 (わぁラッキー) 「暇してるみたいだね、一緒にどっか行かない?」 「はぁい行くっ!」 弄ってたスマホを直して、するりと腕に手を回す。 ごめんね隣に立ってたお姉さん。 今この人が近づいてきて「自分かも」って髪直したよね。 残念、僕だったみたい。 チラリと電線柱を振り向くと、もさ男の姿も無くなっていて。 「ねぇねぇ、お兄さんなんて名前なのっ?」 さっき貰った棒付きキャンディーをコロンと口に入れながら、ふんわり笑った。

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