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バッと起き上がった先には、小柄な身長。 「んー確かにそうかも! あ、僕もそこ寝転がっていい? 失礼しまーす」 「ぇ、は? ちょ、待っ」 「あー気持ちい!空高いねぇー!」 許可してないのに庭に入られ、思いっきり隣に来られる。 な…なんだこの話が通じない奴は。 うちの姉貴たち並み? いやそれ以上にやばくないか? ってかーー 「お前……」 「ん、なに? ぅわぁ!」 「皇帝と結婚した奴じゃねぇか!」 ガシィッと両肩を掴みながら、寝転がるそいつに馬乗りになった。 は? なにこいつクソほど顔がいいじゃん。 黄金比ってやつが完璧。しかも目がすごく綺麗なピンク色だ。 肌もモチモチだし髪も綺麗だし、体も細っこくて守ってやりたくなる感じで…… (成る程、これは確かに俺負けてるな) あの皇帝は、頭のいい俺よりもお飾りでも綺麗で可愛いこいつを選んだというわけだ。 あーそうだよなぁ、世の中やっぱ見た目が9割。人生の大半は顔で決まる。 こんな完璧な外見で且つ子どもも産めるとか、そりゃ素晴らしい女性だ。誰でも欲しくなるだろ。 頭の切れる皇帝の妃はこういうのが1番合理的なのか。 まぁ確かに現実的だよなぁ…けど…… 「って、ん?」 馬乗りになった尻の下に、ゴリッとした感覚。 「ねぇ、ツバメってそんなに積極的なの? 僕いつでもいいよ?」 「はぁ? なんの話……って、〝僕〟?」 「ん? 僕」 「………ぇ、お前男……?」 「あはは今更なのそれー?」 は? 嘘だろ男? なんで?? (俺と一緒で子ども産めねぇじゃん!) 俺が男だからってことじゃないのか!? 女がいいってわけでも性別の関係でもない? ということは、やっぱこいつには俺以上の利用価値があるのか…それか顔か…… 「残念、どっちもハズレです〜」 「……は?」 「ふふ、考えてること全部口から出てるよ。ツバメは頭いいけど少しおっちょこちょいなのかなぁ?」 「何言って…ってかお前、なんで俺の名前ーー」 「お前じゃなくてエリス!僕の名前ねっ?」 「エ…リス……」 エリスって確か、この大国の2番目に大きな国の王子だ。 年は俺より2つ下で、大切にされてるから滅多に外へは出てこないって噂の。 そんな奴が、どうしてここに…… 「ねぇ、もしかしてツバメも僕のこと好き? わぁ僕ももう我慢できないんだけど。 どっちがいいかな、僕上でも下でもいいよ? 野外なんてドキドキするけど、僕らが愛し合ってるの皆んなに見てもらえるねっ。いいかも!」 「は? 待てなんの話だ。おm…エリスは、皇帝の結婚相手だろ? 俺も皇帝が好きだし、普通に考えて俺たちはライバル関係になんだろ」 「え、まだあいつのこと好きなの? もう僕のなのに?」 「……あぁ、好きだ」 正確には、好きになる努力をしてきた。 こんな平凡顔の男を娶ってもらうんだ。性別以外の部分は誰にも負けないよう、最大限に頑張って来た。 この国の政治や言葉の勉強も、ここでの当たり前を受け入れることも、男同士のセックスの仕方も…… 全部全部学べるだけ学んで何とか隣に並べるようにした。 ここに来てまだたったの3ヶ月だけど、この3ヶ月は今までの人生の中で1番濃かったと思う。 それくらいの努力ができるくらいは、あいつを愛している。だから、 「でもさ、フェガロスはもう僕のものだよ? 僕がツバメから取っちゃった」 「っ、」 当たり前のように言われて、ギリッと唇を噛む。 そんな俺にクスリと笑い、綺麗な指が頬を撫でてきた。 「だからさ、ツバメは僕と結婚するしかないの。僕と一緒になろう?」 「……? お前は皇帝と結婚したんだろ?」 「したよ? でもそれとこれとは別。 僕は皇帝とツバメを引き離すために皇帝を僕のものにしただけ。 ほら、だからツバメは僕と一緒になるしかないんだよ?」 「………うん?」 やばいな、言ってることが理解できない。 「ほら」ってなんだ? 俺の頭がおかしいのか? いやいやそんな筈は。 「もー難しく考えすぎ!ちょっとは頭柔らかくしてよ〜。 要するに、僕はもうずっと前からツバメのことが好きだったの。 だからツバメの好きな皇帝を僕のものにして、僕はツバメと結婚する。わかった?」 …………いや、まじで全くわからない。

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