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ー鼓動ー6

 俺はそう素直に納得してしまっていた。  それは雄介の言う通りだからだ。 「朔望が居るんじゃ、朝のこういう時間に望とイチャイチャとしていったら、絶対に茶化されるに決まっているやんか、ほんで、それに乗っかってくるのは和也やろ?」 「まぁ、確かにな」 「たまには、望とこうゆっくりとした空間っていうのを味わいたいやんかぁ……」 「ああ、まぁな……」  と俺は無意識に雄介の言葉に賛同していた。  それに気付いた雄介は、 「やっぱ、そういうとこ望って可愛いのなぁ」 「へ? ぇえ!? 今、俺なんか言ってたのか!?」 「言っておった、言っておった。 まぁ、それを言ってしまったら、きっと望の事やから怒ると思うしなぁ」  無意識って怖い。 そう改めて思う俺。  しかし今俺が何て返したのか? ってなんて事、覚えてない。 それ位、無意識のうちに言葉を返していたって事だろう。 「ん、まぁ、とりあえず、早よ、行こ! アイツらに茶化される前にな」  そう言って雄介はベッドの上へと立つのだ。  そうする事で、今まで雄介の体に掛けられていたタオルケットがベッドの上へと、さらりと落ちる。  雄介は寝る時というのは基本的にパジャマは着ない方だ。 夏だからっていうのもあるのかもしれないのだが、ランニングにハーフパンツ姿だった。  しかし雄介という人間っていうのは、日に焼けた体に本当にランニング姿が似合うと思う。 流石の俺はそれを口にして言う事は出来ないけど、雄介っていう人間というのは何でも似合う気がするのだ。 それに体は消防士をしている時と変わらず筋肉質で本当に消防士を辞めてからも筋力トレーニングを怠った事はなかったのであろう。 本当に体はあの時と変わらないままのようにも思える。 そう雄介の体っていうのは、ムチムチまでもいかないまでも、普通の体に程よく筋肉が付いている所がまたまたいい所なのだから。  そして雄介はやっぱり身体能力的なものは凄いのか、ベッドのスプリングを利用して床へとジャンプしてきた。  本当その姿というのは軽やかで一昨日、あの荒波の中を漂っていたとは思えない位に思える。 「……って、筋肉痛とかっていうのはねぇのか?」 「ん……あー、まぁ、あんま気になるような感じではないような気がするかな?」  そして二人並んで和也達が待っている階下へと向かうのだ。

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