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ー鼓動ー20

「ご飯やでー!」  そう雄介が声を掛けて来る。 「ご飯だとさ」 「分かってるって」  そう言ってやっと俺は歩夢から解放された。 「とりあえず、朔望達も診療所の方を手伝ってくれたし、昼はみんなの分作ったし、まぁ、朔望は飯作るの手伝ってくれたし、そういう事で昼飯は朔望と歩夢の分も作ったからなぁ」 「流石、雄兄さん!」  そう言うと、歩夢は俺から離れて雄介がいる方へと向かうのだ。 「せやけど、朝言うたようにダイニングテーブルの方は四人しか座れないし、二人はソファの方で食べてなぁ、朝は五人やったから、そっちで全員食べれたのだけど、流石に大の大人が六人も座れへんからなぁ」 「確かにねぇ、ぎゅうぎゅうで食べる事になるのかもしれないしね。 そこは仕方がないから、僕と歩夢でソファの方で食べるよ。 だって、そこは兄さん達の邪魔しちゃ悪いしね」  どういう意味で朔望がそう言ったのか? っていうのは分からないのだけど、朔望がそう言ってくれたのだから、俺達の方はダイニングテーブルの方でいいだろう。  朔望達は自分達の分の料理をソファへと運んで行く。  そして俺達の方はダイニングテーブルの方へと向かうと、雄介が、 「ほな、午後からの診察時間っていうのは、十四時から十七時までなぁ」 「ああ、都会とは違って遅くまで開けておく必要はないからな」 「せやから、この時間にしたっていうのもあるんやけど。 あ! せやせや……」  そう雄介はご飯を食べながらも急に朔望達の方に話を向ける。 「あんなぁ、確かに午後からの診察時間は東京と違って、十四時から開けておんねんけど、それだけが診察時間じゃ、ないんやからなぁ、ずっと! ある意味、ここで待機してなきゃならないんだからな」 「ずっとって!?」 「ってか、そこは普通に考えれば分かるやろ? 東京の病院で働いている時やって、病院っていうのは二十四時間空いてんねんからな。 それに、この島には診療所、要は病院っていうのは俺達がやってる診療所しか無いんやから、ずっと開けておくっていうのが普通なんやしなぁ」 「あ、ま……そうだったね」 「せやから、夜なんかに変な気起こすなや」 「へ? どういう事!?」 「まだ、分からへんのか? スるなっていう意味やからな」 「は、はい!? スるなって、どういう意味なんでしょう?」 「それで、俺達はこの島に来て、どんだけ悩んだか。 なぁ、和也」 「そうそう! そういう事ー!」  雄介にいきなり振られた和也だったのだが、どうやら雄介が言いたい事が分かったらしく上手く雄介の話に乗っているようだ。  そういうとこ和也と雄介っていうのは気が合うんだよな。  ……寧ろ、和也は今の雄介の言葉でこそこそって肩で笑ってるしな。 「えー! ぇええ!? もしかして、この島では歩夢とヤれないって事!?」 「ま、そういう事やねんなぁ」  その朔望の反応にいよいよ雄介の方も笑ってしまいそうだ。 「しかも、一週間も!?」 「一週間もっ!? って何やねん……俺達なんかずっとなんやなんやぞ!」 「……って禁欲生活をしてるって訳だ」 「ああ、まぁ、一応、そういう事になるわなぁ」 「じゃあ、雄兄さんは欲求不満っていう訳?」 「そうでも無いわぁ。 だって、俺は基本的に望と一緒に居れればいいと思っておるしな」

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