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ー鼓動ー21

「ホント、雄兄さんは望兄さんに溺愛って感じだよね。 もう! 望兄さんとは体の繋がりはなくても十分って感じですか!?」  そう言って笑っている朔望。 「だって、実際、そうやねんもんなぁ」 「幸せいっぱいっていう感じだ」 「ん、まぁ、確かに望と居られる時間っていうのは幸せな事やもんなぁ」 「妬けちゃうね」 「お前等っていうのは兄弟やねんから、妬けちゃうはないやろ?」 「いや……兄弟だから逆に妬けちゃうっていうの!? だって、兄さんは兄弟なのに僕達の方にはあんまり来てくれないしね」 「そりゃ、そうやんねんなぁ。 望とお前等は確かに兄弟であっても今まで離れて暮らしておったっていう訳やしな」 「だから何!? だからさ、もうちょっと望兄さんと話したいと思ってるんだけどな? だって、僕達、東京に帰国してからだって、少しの間しか兄さん達といれなかったでしょう。 それで、専門も違ってたから、そうそうあんまり話す機会だって少なかった訳だし、それで、ある意味直ぐに兄さん達っていうのは島で働く事になっちゃったじゃない? だから、こう兄弟でも人生の中で一番話してる事が少ない兄弟なんじゃないかな? って思ったんだけどな」 「え? あ、まぁ、そこは仕方ないと違う? 要は運命って事なんやろな? 兄弟なのにいつもいれないって事がな」 「運命で片付けられていい事なのかな? ま、そこはいいんだけどさ。 あ、でも、一週間も禁欲生活かぁ!?」 「へ? まだ、そこなんか!? さっきも言ったけど、たった一週間ねんやぞ!」 「何言ってんの? 僕達っていうのはさ、暇さえあればシてるんですけど」 「へ? まさかとは思うねんけど、病院でもシてるって事なんか?」 「うん! 我慢出来なくなったら、病院でもシてるよ。 あ、でも、誤解しないでね。 暇って言っても流石に仕事中とか夜勤の時にはしないからさ、そこは二人共、仕事が終わった後って事にしてるしね」 「ま、普通はそうやんな。 ま、俺達っていうのは、寧ろ、病院で働いている時っていうのは全くもって仕事中にそんな事も考えた事さえもなかったわぁ。 ホンマ、ヤるだけっていうのが恋人と違うもんなぁ。 好きだからこそ、相手の事を想って……二人がそういう気の時にって感じやったしな」 「えー!? それ本当なの!? 逆にこっちからしてみたらヤらな過ぎなんじゃない!?」 「そっちがヤり過ぎなんやって」 「そこは相手の事が本当に好きだからヤるに決まってんじゃん!」 「ぁあ! もうええって、ホンマ、飯が不味くなってくるし。 そういう話っていうのは後々」 「って、そういう話してきたのは雄兄さんじゃん! そうそう一週間出来ないってね」 「あ、まぁ、確かにそうやねんけどな、まさか、そこまで、話が続くとは思ってなかったしなぁ。 とりあえず、飯食うて時間まで少しあるし、診療時間までに家事とかやる事いっぱいあるしな、早く飯食うて……」 「……って、そういう話を雄兄さんがするからでしょ!」 「もう、分かったって、ホンマにお前等しつこいで……」  雄介は席から立ち上がると、食器を片付けにキッチンの方へと向かうのだ。 「ほな、俺は洗濯の方やって来るな」 「そういや、洗濯で思い出したんだけどさ、僕達の一週間分の服どうしよ?」 「……へ? あ、そっか……船の事故でお前等の服流されてしまったんやもんなぁ」 「うん! そういう事。 それに、一週間ここに滞在する事だって急に決まった事だったしね」 「ほなら、俺等の服を貸すしかないやろ?」 「……って、僕達が雄兄さんの服着れると思う?」 「……って、おいおい、今はそないな事言うてる場合じゃないやろ? 折角こっちが提案して上げとるのになぁ」

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