そこに俺は安心する。 　俺は洗濯物を干しに行く雄介の後に着いて庭へと向かうのだ。 「洗濯干すの手伝うよ」 「ん？」 　そう雄介は不思議そうな顔をしていたけど、 「ほな、ありがとうな」 　って、俺に笑顔を見せてくれる。　ホントそこは雄介らしいのかもしれない。　いや雄介らしいんだよな。 　マジで俺は雄介の恋人になって本当に良かったし幸せだと思ってる。　だってその太陽みたいな眩しい笑顔を俺にだけ見せてくれるからだ。　確かに患者さんや沢山の人に雄介は笑顔を見せるのだけど、それでも俺に向けてくれている笑顔っていうのは何か違うような気がするからだ。 　今日は二人で洗濯物を干しながら、 「あ、あのさ、さっきは、ありがとうな」 「ん？　さっきって？」 「え？　あ、俺が手術した時の動画の話の時」 「あ、ぁあ！　それな！　だって、俺だって、ホンマそういうの嫌やしなぁ。　初めて手術した時の動画なんて誰だって嫌やんか」 「あ、まぁ、確かにそうなんだけどさ、でも、雄介はアイツ等から俺の事を守ってくれる為に言ってくれたんだろ？　だから、ありがとうって」 「え？　あ、まぁ、そうやんなぁ。　望がそう思ってくれたんやったら、そこはやっぱ嬉しいかな？」 「じゃ、いいじゃねぇか」 　そう俺は雄介の事を見上げ微笑むのだ。 　雄介のおかげで俺の心の中というのは、まるで夏のように熱くなったのが分かった。 　毎度のように恥ずかしいからとかじゃなく、雄介の言葉が温かかったから熱くなったのかもしれない。 　俺達は洗濯物を干し終えると部屋へと戻って行く。 「雄介達も洗濯終わったみたいだし、午後からの診察室の準備しますか！」 　そう和也は全員に声を掛けて来るのだ。 　そこは何ていうのか和也らしい。　和也って俺達の中ではムードメーカー的な存在で、本当その場を仕切ってくれたり盛り上げてくれたりしてくれる。　確かに看護師っていう職業なのだけど、親父がコンビ制度を作ってくれたおかげで医者と看護師の間には壁みたいなのはなくて、しかも和也と俺はずっと仕事をしてきているからなのか、友達以上の関係で、あ、いや、友達以上っていうのか、やっぱそこはもう長年一緒にいると親友以上の関係にも思えて来る。　ま、実際問題、親友以上っていう言葉はあんま耳にした事はないけど本当に俺からしてみたら和也は親友以上の関係だと思ってる。 　和也が声を掛けてくれたし俺達は気持ちを入れ替えて、頷くと今度は午後からの診察の準備へと取り掛かるのだ。 　そして、いつものように午後からの診察も終えて、自分達が住まいの方へと戻って来ると、 「んじゃあ、僕達は一回、旅館の方に戻るな」 「……へ？　そうなのか？」 「だって、こっちに居たって寝る場所はないだろ？」 「ん、まぁ、そうなんだけどさ」 「それに、親父にも明日からの事、報告しに行かないとならないしさ」 「あ、確かに、そうだよなぁ。　明日からは俺達が東京に行くんだしな」 「……ってな訳だ。　親父に報告しに行くのと、食事だって人数分しかないんだったら、俺達は旅館の方で食べた方がいいだろ？」 「え？　あ、まぁな……」 　そう言うと朔望と歩夢は俺達の家を出て行くのだ。 「ま、確かに、その方がええんやろなぁ」 「まぁな……」 　俺と雄介はソファへと座ると会話を始める。