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ー鼓動ー44

「ほな、後の事は宜しくな」  そう雄介は話が途切れた所でそう言うのだ。 「ああ、任せておけって。 雄介達が帰って来るまでちゃんと診療所の方は俺達でやっておくからよ」 「ああ。 和也達になら任せておけるって感じやしな」 「おう! 大丈夫だって! だからさ、今回はちゃんとゆっくりして来いよ」  そう言うと和也は雄介の背中を押していた。 「ありがとう」  そういう事を言うのは雄介の役目というのか、俺っていうのは全然まだまだ素直な性格ではないのだから感謝の言葉を簡単に口にする事は出来なかった。 それをみんなも分かってくれているのか俺達というのは追い出されるように診療所を後にする。  そして診療所の前で和也達に見送られる俺達。  和也なんかは大きく手を振って裕実なんかは普通の声で、 「いってらっしゃい」  そう言ってくれて、みんなに見送れらた。  アイツ等らしい見送り方だと思う。 「ちょっと寂しい気もすんねんけどなぁ」 「まぁな」  そうだ、ここ一ヶ月、俺達は和也達一緒に過ごして来た。 だからなのかこれからの一週間和也達がいない事が寂しいような気がする。  俺達はスーツケースを引きずりながら船着場へと向かうのだ。  するともう親父達は来ていたのか早速親父達の姿が目に入って来た。 「……望?」 「あ、ああ、まぁ、そういう事だからさ」 「ああ、うん……それは、朔望から話を聞いてるから大丈夫なんだけど。 一週間、東京に行くんだろ?」 「ああ、まぁ、そうしたから」 「じゃあ、私達の方は君達の邪魔はしないよ」  それだけ言って親父は雄介のお父さんと一緒にそのまま船へと乗り込む。 「……へ? え?」  もう少し突っ込まれると思っていたのに意外や意外に親父は何も突っ込まずに船へと乗ってしまっていた。 そこは何気に俺からしてみたら拍子抜けの状態だったのかもしれない。 「ま、それはそれでええやんか」 「え? あ、まぁ、そうなんだけどさ。 なんか拍子抜けっていうの?」 「ま、ええやんか……それならそれでな。 だって、俺だって、親父達に絡まれるよりかはええからな」 「ま、確かにそれはあるよな」

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