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ー鼓動ー45

 俺達もその船へと乗り込むと出発時間までのんびりとした時間を過ごしていた。  流石に親父達の近くに座る事は出来ず、ちょっと離れたような所に座る俺達。  俺は窓際で雄介はその隣りに座っている。  すると船内には汽笛の音が鳴り響き、やっと東京へと向けて船が出発する。  それはたった一ヶ月前にも経験した事だったのだが、それでも懐かしいと感じるのは気のせいなのであろうか。  一ヶ月前は期待と不安でしかなかったのだが、今回は久しぶりに東京に向かえる事だけあってか嬉しい気持ちでいっぱいなのかもしれない。  船が少しずつ島から離れて行く。  そう島が段々と小さく見えるようになってきたからだ。  とそんな気持ちに浸っていると、 「ねぇ! 君達って、望君と雄介君なんでしょう!」  そう言われて俺と雄介は声がした方へと振り向くと、そこには俺達の親父と年代位の女性の姿があった。 「え? あ、そうですけど?」  俺からしてみたら本当に知らないおばさんにしか見えない。 だから首を傾げながら答えるしかなかった。 しかし何で俺の名前を知ってるのであろうか。 「なら、良かった。 自己紹介の方遅れましたけど、私は梅沢和也のお母さんって言ったら分かるかしら?」  ……あー! そうだ! あの船の事故の時、一瞬は見た筈だったし、今回、和也はそんな事言っててずっとヘコんでたんだっけな。 「和也くんのお母さんでしたか」  その和也のお母さんは頭を頷かせていた。 「……今回は和也とあんまり話せなかったのだけど、あの子、ちゃんと仕事出来てるのかしら?」  流石は親という所だろう。 しかも母子家庭って和也は言っていたのだから息子の心配をするのは当たり前な事なのかもしれない。 「え? あ……大丈夫ですよ。 和也君は俺からしてみたら最高なパートナーですからね」  そう俺は笑顔で和也のお母さんの事を見上げる。 「それなら、良かったわぁ。 あの子ったら、小さい頃からドジばっかりで、看護師になった時には、もう! ホント、毎日のようにヒヤヒヤとしてたんですからね。 ドジばっかやって、いつか医療ミスをしてしまって、新聞やニュースになるんじゃないかと思ってた位なのよ」

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