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ー鼓動ー52
俺達はエアコンを付けたまま家を出る。
確か歩いて五分位の所にスーパーがあった筈だが、夕方になっても最近の夏というのはあまり気温というのは下がって来ない。 だからなのかたった五分の距離でもスーパーに着く頃には額から汗が滲んで来ていた。
しかしこのスーパーの何年振りに来たんだろうか?
いやたった一ヶ月しか経ってないのに、もうこんなにも懐かしく感じてしまっているようにも思える。
夕方のこの時間というのは大勢の買い物客で賑わいを見せていた。
試食コーナーでは従業員さんが一生懸命お客様に試食を勧めてみたり、鮮魚コーナーではお兄さんが大きな声を出して魚を勧めていたりして本当にこういった光景えお見たのは久しぶりのような気がする。
「ほな、今日の夕飯は何する?」
「……へ?」
……急に夕飯の料理の話を俺に振られても……俺は料理が出来ない人なんだから、分かる筈がないだろ?
「あ、えーと……俺はさ、料理出来ないんだから料理の事を振られてもも分からないって」
「せやけど、食いたいもんっていうのはあるやろ?」
「え? あ、まぁ……」
「何が食いたいん?」
「え? あ、ん……」
「そないに難しく考えなくてもええやんか、とりあえず、何でも作れるしな」
「え? あ、そうなのか!? でも、浮かばないと言えば浮かばないんだけどな」
「ほなら、なんか適当に買って作ったらええ?」
「あ、ああ、うん……そうだな」
そう言うと雄介は真剣な目で食材を手にしてはキチンとそれを選んで籠へと入れていくのだ。
ホントそういうところ雄介ってなんか主婦みたいだよな。 きっと俺なんかが食材選びなんかしたら本当に適当だからな。
そこで昔雄介と一緒に買物に行った事を思い出す。
その時の雄介っていうのは確かに真面目に買物をしていたのだけど、それ以降っていうのは一緒にこうやって買物もした事がなかったような気がする。 それはきっと雄介が休みの日にスーパーに行って買物をしてくれていたからであろう。
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