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ー鼓動ー59
雄介がいつもの調子じゃなきゃ今日は俺から話を振ってみようかな?
ま、それで雄介の調子を狂わせてしまうのは俺なんだけど。
今の俺というのは昔の俺とは違う。 散々、雄介とは話し合いをして来て俺は素直になるようにと雄介の方は決断力を付けるというのを目標にして来た。
だから俺はその事について努力してきているという事だ。
しかし雄介のおかげで気付いた事というのは素直になると甘い空気になるという事なのかもしれない。
それは素直になるって事を意識し始めて気付いた。
「な、雄介……俺達が恋人同士になってから、どれ位経つんだろうな?」
「せやな?」
そう雄介は視線を天井へと向けて考えてくれているようだ。
「ん、まぁ、分からへんけど、かなり経ってると思うで」
「だよな。 ま、その間に色々な事があったけどな。 一緒に暮らしてみたり、事件や事故に巻き込まれたり、時には喧嘩したりした事もあったな」
「でも、俺は望と別れる気なんてサラサラなかったけどな」
そう雄介の方は料理を口にしながら俯き加減で答えていた。
「ま、俺の方も何回も別れる! って口にしてたけどさ。 特にお前が医者になる前にな……」
「あ……あん時は、俺もお前も勉強に仕事にって忙しい時期でイライラしておったしなーってか、正確には心に余裕がなかったっていうんかな? でも、ホンマの所はどうだったん?」
いきなりその話題を振られて、俺の方はむせそうになっていた。
「え? あ、そ、それな……」
今度は俺の方が顔を赤くする番だったのかもしれない。
雄介から視線を逸らし頬を掻き、
「俺だってさ、雄介と別れる気なんてサラサラなかったさ……でも、そうでも言わないと、あの時の雄介っていうのはやる気みたいなのが出ないだろ? って思ってな」
「なんや、そういう事やったんかいな」
「じゃなきゃ、もうとっくに別れてる筈だろ?」
「ま、確かにそうだったのかもしれへんな」
その雄介の言葉で少し沈黙が流れてしまうのだ。
「……あ、そのな……俺の方は本当に雄介の事が好きになっちまったんだからよ」
そう言うと俺の言葉で更に沈黙が流れてしまったというのであろうか。
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