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ー鼓動ー69
「え? あ、まぁ……そうだよな」
「日本の人口だって、約一億人の一やで!」
「え? あ、まぁ……そうだけどな」
「そんだけの人がいる中で、巡り会えた事っていうのは、ホンマ奇跡とかしか思えへんしなぁ。 んー、俺の方はめっちゃ望に出会えて感謝しとるっていうんか、嬉しいっていうんかな? とりあえず、出会えた事が良かったとしか思えへんかな?」
そう嬉しいそうに言って来てくれる雄介。
その声に俺の方は安心したのか、
「ん、まぁ、俺の方もそうなのかな? 初めてお前に会った時っていうのは、マジに最悪な奴だって思ってたけど、何だろ? 恋人同士になってからは、色々な事を雄介に教わったっていうのかな? 遊ぶ事もそうだし、料理の美味しさを教えてくれたのも雄介だし、人を好きになる事も教えてくれたのは雄介だしな」
そう言う俺に雄介は首を傾げて見ていた。
「……へ? そうだったんか?」
「だってさ、俺の家族はみんな朔望も歩夢も母さんも父さんもアメリカに行ってたんだぜ、なのに、俺一人だけ日本に残っててさ、じいちゃんとばあちゃんに育てて貰ってたしさ、とりあえず、じいちゃん達が亡くなってからはそのまま一人暮らししてたんだけどな。 でも、急に家族が日本に帰って来てっていうのか、あの地震の時がきっかけで帰国してきたって言った方が正解なのかな? それから、歩夢とか朔望とかと出会って初めて兄弟が居るって事も知ったしな……まぁ、そこは一回俺は記憶喪失になってしまっていたから兄弟の存在位は知っていたのかもしれないけど、記憶喪失でその記憶は消えていたっていうだけなのかもしれねぇけど。 しかし、親がずっと居なかったのだから、愛情っていうのは知らずに俺は今まで育って来てた。 だけど、雄介に出会えた事で愛情っていうのを知ったっていう感じがするんだよな……」
「あー、ん……そうやったんか。 俺からしてみたら、望の事を愛する事っていうのは恋人として当たり前だって思うとったからな」
「逆にそれが良かったんじゃねぇのか?」
「あ、え? ん……望がそう思うてくれたんやったら、ええか」
その雄介の言葉に俺の方は微笑む。
本当にそうだ。
雄介は俺に愛情っていう目には見えないモノを教えてくれた人物でもある。
確かにじいちゃんやばあちゃんには愛情たっぷりで育てて貰ってたという記憶はあるのだけど、やっぱり、そこは親からの愛情とは違う気がする。 だって俺は小さい頃、親と一緒に遊んで貰っている子供達を見て羨ましいとかって思った事は何度もあるからだ。
親とじいちゃん達の愛情っていうのは何だか少し違う気がしたけど……恋人と親から貰う愛情というのは同じような気がする。
だから俺は雄介のお陰でツンデレだった性格が気持ち的に素直になれてきたように思えるのだ。
そう思うと親子と恋人との関係っていうのは似ているのかもしれない。
喧嘩する程仲がいい。
って言うけど、まさにそうなのかもしれない。
仲がいいから喧嘩をする。 というのか意見の言い合いというのが喧嘩という意味なら、そういう風に言い合える仲というのがいいという事だろう。 これがただ上部だけの友達関係なら喧嘩というのか言い合いなんかしなくて相手の悪い事さえも言えない関係というのは親友までは行かない友達の関係でいいと思う。 そう心の底から話せる人物というのが本当の友達で親友という仲なのであろう。
だから恋人と親っていうのは似ている所があるのかもしれないと俺は思う。
「ほな、今日はもう寝ようか?」
「ああ、だな……」
そう言うと俺は目を閉じるのだ。
雄介と久しぶりにまともな話をしたようにも思える。 それでスッキリしたのか今日は何時の間にか寝てしまっていた。
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