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ー鼓動ー80

 その後は会計を済ませ俺達は帰宅しに家へと向かう。 「ほんで、どないする?」  そう雄介の唐突な言葉に望は顔を上げるのだ。  いきなり「どうする?」って聞かれても、何をが抜けているからだ。 「何を……だよ」  そう望の方はため息混じりで聞き返す。 「あー、せやから、んー……その、望と約束した事があったやろ? それや、それ」  外だからなのか、そうどうにかオブラートに包むようにして言われたからなのか俺には雄介が言いたい事が分からなかった。 しかも完全に視線まで外してしまっているのだから雄介にも分かってない事が伝わってるだろう。 「え? あ、ああ、そうな」 「あー、その、今日病院行ってからって言ってたもんな」 「でも、今日は検査まで出来てなかったしな」 「やっぱ……そうやんな?」  そう雄介は俺の言葉でしょげているようだ。  そんな雄介に俺はクスリとする。  だって本当、雄介という人間っていうのは本当に分かりやすい性格の持ち主なのかもしれない。 そういいと言えば素直に喜びダメだと言えば落ち込む。 それで俺はそんな雄介に笑ってしまっていたのだから。 「約束な。 確かに今日、検査してみて何もなかったらっていう話だったんだけどさ、でも、今日の雄介は約束通り検査しに来てくれた訳だし」  その俺の言葉に雄介は反応し、俺の方を首を傾げながら見ていた。 「なら、雄介的にはどうしたい?」  その質問に雄介の方は顔色を変え、 「そりゃ、決まっておるやろ! シたいに決まっておるやんか!」  そう今度は笑顔で俺の事を見ていた。 「クスッ……って、やっぱ、お前ってそういう所可愛いのな、そうやって素直な所がさ」 「じゃなきゃ、勿体ないやろ? だって、望がそう言ってくれるんやもん。 そこは……その、素直に答える所なんかな? っていうのか、ホンマ、そうやしっ!」 「ま、いっか。 今日は仕方なかったんだもんな。 ちゃんと検査受けられたんだったら今日だったんだし、いいんじゃねぇの? お前に異常が無いっていうんだったらな」 「そりゃ、無いに決まっておるやろっ!」  そう大真面目な表情で言う雄介に今度俺は爆笑してしまっていた。  雄介は素直な性格だけあって表情の方も豊かだ。 本当にコロコロと表情が変わってしまうのだから。  そこが羨ましいというのかなんというのか……ま、そこも可愛い所でもあるんだけどな。 「じゃあ、そうするか! 但し、体調が悪くなって来たら直ぐに辞めるからなっ!」  そう俺は念を押すかのように言っておく。 「え? あ、まぁ、そうやんな。 もし、ホンマに不調が現れた時には望に頼るし、まぁ、そん時には宜しくな」 「……って、縁起でもないような事を言うんじゃねぇよ」 「え? あ、まぁ、あくまで、もしもって時にやし。 まぁ、絶対に大丈夫だっていう自信あるしなぁ」

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