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ー鼓動ー98
「ま、ええわぁ。 そこに笑ってる場合やないしな。 今、望がここに来てくれた事に感謝するとこなんだし」
「え? あ、そう」
そう雄介に改めて言われて、自分が雄介の側に来てしまったという事を意識してしまった俺は顔を俯けてしまう。
「流石にな、望がここに来たからって、いきなり抱きたいっていう訳じゃなくて、もうちょい望とくっついてたかったっていう訳なんやって……。 んー、イチャイチャしたい……っていうのは本音やけど、望ってさぁ、外でも家でもなんやけど、イチャイチャするっていうのは苦手やろ? それなら、もう少し話しようかと思ってな」
雄介は俺が雄介の側に行ったのにも関わらず、腕とか手は俺の方へと一切近付けてくるっていう事はなかった。 今の雄介っていうのは俺にスキンシップさえして来ないようだ。
雄介は少し足を開いて両膝に両肘を置いて俯き加減で話をしてくる。
その格好でさえも雄介というのはカッコよく見えてしまうのは、俺が雄介に惚れているからであろうか?
「ま、昨日から俺等っていうのは、ゆっくりとした時間過ごしておるんやけどな、その中でも確かに今までの事を話している時間も出来た。 今までの望の事も俺の過去の思い出話も話せたし、それでも、まだ、何か足りない気がすんねんけどな」
何故かそこで言葉を止めてしまう雄介。
「へ? それで!?」
「ん……せやから、この一週間で、その足りなかった部分を埋めてこ……って、思うてるんやけど」
「だから、その足りない物ってなんなんだよ」
「それは、今の俺には分からへん」
「はぁああいい!?」
本人が分からないのでは、俺にだってその答えが分かる筈がない。
「せやから、これから、その足らへん物を埋めて行こって言ってるやんか」
「あ、まぁ、そっか」
そこはまだ納得いかないのだけど、本人もそこの所は分かってないのだからそこはとりあえずいいとしよう。 俺はその雄介の言葉に頷いておくしかなかった。
でも何だか急に雄介のその言葉で俺の胸がドキドキとしてきたような気がする。
俺が雄介の隣りに来たからなのか? それとも今の雄介の言葉を聞いてからなのか? そこは今の所は分からないのだけど。
いや今の雄介の言葉の方に胸がドキドキしてきたのかもしれない。
ホント雄介ってカッコいいと思う。 そこにドキドキしてしまったのかもしれないな。
ズルい、ズルすぎる。 そういう事をサラリと言ってしまえる雄介が本当に羨ましい位にズル過ぎる。
と思ってしまっている俺。
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