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ー鼓動ー105

 そして雄介は買物を済ませたのかレジへと向かうのだ。  紙袋に入れられた今雄介が買った品物。 きっとそれはビニール袋に入れてしまうと商品が何だかバレてしまいそうな物だからそこはお店からの配慮で紙袋に入れてくれたのであろう。 「ま、買うもん買ったし、何か食いに行こっ! 確か、この辺にファミレスがあった筈なんやけどな」 「そうなのか?」 「駅周辺っていうのは、専門店が多いのかもしれへんけど、この辺になってくるとファミレスなんかもあるみたいやで……」 「……って、何で知ってるんだよ」  店を出てからは雄介の隣りを歩き始める。 もうさっきのお店の時みたく流石に手を繋ぐ事というのは出来ないからだ。 「だって、ここ等辺に住んでおる時っていうのは、いつも電車やったからな、この辺を歩き回ったりしてたし、飯食う時に探してたしな」 「……へ? ファミレスに一人で入ってたって事なのか!?」 「そないに驚く所じゃないと思うねんけどなぁ? 今じゃあ、ファミレスっていう所は一人でも入りやすくなって来たんやで。 ま、正式名称っていうのは『ファミリーレストラン』やからなぁ。 確かに一人では入れなさそうなイメージがあるのかもしれへんけど、俺は腹減ってきたら気にせずに入るっていうたらええかな? 望やって腹減り過ぎて、もう限界って事になってそこしかお店が無いとなったら、望だってファミレスに入るやろ?」 「え? あ、そうだな。 もし、そういう状況になったら、一人でファミレスに入るのかもなぁ」 「そういう事やねんな」  確かにそうなのかもしれねぇけど……ん、まだ、俺的には納得いかない部分がある。  ま、少なくとも俺は一人で飲食店には入らないと思うけどな。 「そこの大通りの上にあるやろ?」  そう言われて雄介が指差した先の二階部分にファミレスがあった。 「ああ、そうだな……」  確かに俺一人だった場合にはファミレスなんか利用しないのだけど、雄介がいるなら別に構わないと思ってしまう。 ま、二人以上でならいいかな? って所だろう。  そして俺達はそのファミレスへと向かう。  やはりここは穴場という所なんだろうか。  だってもう夕方だというのに、さっき入ったパスタ屋のように混んでなく、並ばずに直ぐに座れたのだから。 「ほな、何する?」 「え? あ……」  そう言われて俺はメニュー表を開く。  ファミレスなのだから、本当にメニューというのは豊富だ。 これならどちらも好きな物が食べられるという所だろう。

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