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ー鼓動ー115
「ほんなら、俺が動くしかないわなぁ」
そう言って雄介は俺の事を引っ張るとベッドの上へと載せるのだ。
「え? あ……うわぁ……!」
雄介に引っ張られて俺はそのまま仰向けの状態でベッドの上へと載せられてしまっていた。
そして雄介はうつ伏せの状態で顔だけを上げてベッドの上にいる。
「とりあえず、まだ、望の事を抱こうなんて思わへん、せやけど、流石にあそこに突っ立ってるだけじゃ疲れるやろうしなぁ。 せやから、ここに望の事連れて来ただけやって」
そう笑顔で言う雄介いうのはこう全くもって下心無しで話し掛けてくるもんだから、やはりそこは雄介の言う通りなのであろう。
「あー、えー、あ、うん……」
今の俺にはそう答える事しか出来ない。
そう未だに緊張なんて消える訳もないからだ。
俺はそこで大きな深呼吸をする。
それでも鼓動は早く打ち続けてしまっていた。
沈黙が流れる部屋内にはお風呂場で蛇口から水が流れている音しか聞こえて来ない。
雄介の方も俺が落ち着いて来るのを待っているのか、それ以降何も口にして来ないという感じだ。
一体、今の雄介いうのは何を考えているのであろうか。
俺の事を抱く事?
俺とキスをする事?
そうだ、今日ココに来たという事は俺というのは雄介に抱かれるという事だ。
これは確か雄介と約束した事でもある。
今までの俺達というのは本当にこういう機会さえ少な過ぎて、この機会に……いや正確には病院で検査して何ともなかった時にという約束をしていたのだけど、それは明後日という事になってしまった。 それにこの事については俺が約束した事、だから約束というのは守る為にするのだから俺は約束通りココに来たという事だ。
俺はもう一度ひと息吐く。
それはさっきのため息とは違い、気合の為のひと息だ。
そう! 俺は雄介と約束したのだから、ココに来た訳で破る為にココに来た訳ではない。 そうやって自分に気合いを入れる為に息を吐いたのだ。
そして俺はベッドの上へと半身を起こすと、
「そろそろ、お風呂溜まってんじゃねぇのか?」
「あ! え! そうやなっ!」
雄介はそう言うといつも鍛えている雄介はうつ伏せの状態からスッと立ちお風呂場の方へと向かうのだ。
「あ、もう……望の言う通りいい感じやで」
そうお風呂場のドアから俺の方に向かって言う雄介。
俺の方は立ち上がり、お風呂場へと向かう。
「って、ココは脱衣所もガラス戸なのか?」
お風呂場の隣にある脱衣所もお風呂場のとくっついてるだけあってか、そっちもどうやら透明なガラスで出来ていた。
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