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ー鼓動ー122
雄介は少し俺から離れると、
「あー、ん……俺が何か望に悪い事でも言うたんやったらホンマに悪かった」
そう言って雄介は俺に向かって頭を下げてくる。
「……へ? あ……」
そう誠実に謝れると怒りというのは治まってきてしまう。 今度はこっちが恥ずかしくなってしまっていた。
「あ、いや……別に」
と俺はそういう事に関してまだまだ素直になれなくて雄介とは視線を離して言ってしまっていた。
「んー、別に……って程やなかったって思うねんけどな。 ま、そこはええわぁ」
そして雄介は困ったように頭を掻くと、
「ほんなら、寝ようか?」
「あ、え? あ……ぅん……」
本当に雄介という人物は俺とは喧嘩したくないのか雄介だけが謝ってきて雄介はそれ以上、俺に突っ込む事はなかった。
雄介はその場で立ち上がり布団の中へと入る。
俺も今日は雄介との約束を果たすべく雄介が入っている布団の中へと入って行くのだ。
もう「寝る」という事は……「抱かれる」って事だろう。
それを覚悟で俺は布団の中に入った。
だが今日の雄介は本当にいつまで経っても仕掛けて来ない。
こっちはもう覚悟が出来ているのに仕掛けて来ない雄介に逆に苛立ち始めて来ている。
布団の中に入っても雄介は腕を頭の下にして天井を見上げるばかりで何か考え事をしてるようだ。
俺はその横にちょこんと寝ているだけだ。
……って、じゃあ、何でわざわざホテルなんかに来たんだよっ! え? やっぱり抱き方を忘れちゃった!?
「雄介?」
そう言って俺は雄介の方に顔を向けると、さっきまで謎だった事を聞いてみる事にした。
「なぁ……もしかして、全然ヤってなかったから、抱き方とかって忘れちまったのか?」
その質問に少し吹き出しそうになっている雄介。
「え? あ……もしかして、それ心配しとった?」
「え? あー、ん……」
そう俺はすぐに雄介から視線を反らしてしまう。
「いや……大丈夫やって、そこは全然問題ないし、なんていうんかな? 久しぶりだし、俺的には全然今にでも望にがっつきたい気分なんやけど……ん……望の反応を伺っていただけやし」
「……へ? 伺っていた!?」
俺はその雄介の言葉に半身を起こして雄介の事を見つめる。
「だって、望ってこういうとこ苦手やったろ? せやから、ホンマに大丈夫かな? って思っておったんや。 確かに昼間、望は俺との約束を果たしてくれる為に『約束守ってやるから』みたいな事言うとったけど、実際、こういうとこに久しぶりに来て緊張とかってしとるんじゃないかと思ってなぁ。 それで様子を伺っておったって事なんやけど」
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