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ー鼓動ー183
だが雄介の手がスルスルと伸びて来て俺のお腹の辺りに触れる。
「これくらいやったらええねんやろ?」
「え? あ、うん……」
雄介の大きくて温かい手がお腹へと触れて安心してるのは気のせいであろうか。
それだけでも今日の俺っていうのは胸の鼓動は早くなる。
緊張……?
いや、違う。
興奮……?
そこはどうなのか分からない。
嬉しさ……?
それは多少はあるのかもしれない。
鼓動が高鳴るという事はそのいずれかなのだろう。
後は恋の高鳴り位なのかもしれない。
でも今の鼓動の高鳴りは今の俺のは自分でも分からない位だった。
人に触れられてドキドキとしているのかもしれない。
本当に雄介といると心臓がいくつあっても足りない位だ。
「めっちゃ……心臓がドクドク言ってるやん……」
「……へ?」
今、俺が考えていた事を雄介に言われてドキリとする。
まるで雄介に心の中を見透かされたような言葉だ。
「俺も何で心臓がドキドキしてるなんて事……分かってないんだけど……」
「そっか……。 ま、俺等風に言ったなら、生きとるって証拠やねんな」
「え? あ、そうだよな」
ホント雄介って突っ込みながらも、そう深くは突っ込んで来ない。
そこで話が終わってしまう。
「でも……雄介といるといつもこうだからよ……」
と俺は横向きになると雄介の胸の辺りに手を触れる。
「お前だって人の事言えねぇだろ? 鼓動早いじゃねぇか」
「え? あ、まぁ……そうやんな。 俺だって、望とおったら、ずっと心臓早く波打ってるし」
「そんな事毎日やってたら寿命短くなっちまうぞ」
「そりゃ、望とおったら短命になってまいそうや」
「短命は困るけどな」
俺がそう言うと今まで直ぐに言葉が返って来た雄介だったのだけど、それが一瞬止まったような気がした。
「まぁ、ドキドキは止められんけど、望の為に頑張って長生きするわぁ……」
「え? あ、そうだな……」
甘い甘いこの時間。 こんなにゆっくりとした甘い時間を雄介と過ごせたのは本当にいつぐらいからなのであろうか。
俺はクスリとすると目を閉じる。
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