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ー鼓動ー185
そんな姿に俺はまた胸がドキドキとしてしまっていた。
悪いこともしていない筈なのに……どうして、こう雄介に対しては心臓がドキドキとしてしまうのであろうか。
心の中では何かイタズラしようとしていたのかな?
少しはイタズラっていうのか何かキスでもしようとしていたのかもしれないのだけど、それだって本当にやろう! とはしていなかった筈だ。
でも俺が雄介の事を起こしていいのか? っていうのか、「起きてるのか?」と声を掛けられる筈もなく……時間だけが過ぎて行く。
そう考えていると雄介の腕が伸びてきて俺の体をギュッと抱き締める。
そうする事で俺はやっと言葉にする事が出来た。
「起きてるのか?」
と……。
「ん? まぁな……望が飛び起きた頃から俺は起きておったわぁ」
……そこから!?
「……って事は大分前から起きてたって事か?」
「違う! 違う! ホンマに望が飛び起きたとこからやって、なんやろ? そういうとこ俺は敏感っていうんかなんていうんか。 望が飛び起きたからベッドが揺れたっていうんか、そんで起きたって感じやったし。 でも、望は俺に何もしてこんかったって事かな?」
「して欲しかったのかよ」
たまには俺らしくていいだろ?
「キス位はたまにな」
「キスは昨日しただろ?」
「望からやったら何度でもしたいって思うねん」
「でも、そう言っちまったら、やる気無くす」
そういつもの調子で言ってみたのだけど雄介が急に頬を膨らませてしまい、こっちがクスクスしたくになってくる。
拗ねた雄介もまたまた可愛いと思った瞬間だったからだ。
「……ったく……俺からキスしたらいいんだろ?」
そう言うと俺は額にキスをするのだ。
「ま、望やったら……そこが限界なんかな?」
そう言われて少しムッとしてしまった俺。
……それなら。
雄介の唇へと唇を重ねる。
「これでいいのかよ」
俺はいつものように売り言葉に買い言葉状態だった。
「これで、満足や。 ほな、今日は病院で検査しなぁアカンし……起きようか?」
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