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ー鼓動ー190

 ……今のはなんだったんだろうか?  と思いながらも俺は首を傾げながら雄介と一緒に歩き始める。  もうあと五分位で春坂病院の近くだ。 「なぁ、ご飯……この辺で食べるんだろ?」 「あ、せやな……何処にする?」  そう言われると逆に迷う所だ。  春坂病院の近くというのは意外にも賑やかな所で春坂病院の前はバスも通ってる位なのだから広い道路で片側二車線の道だった。  そこには交差点もあって反対側に行くとファミレスなども並んでいる。  入院客のお見舞いで来た人や診察時間まで時間を潰す人が入っているのかもしれない。 下手に病院内で待ってるよりかはファミレスでお茶でも飲んでいながら座って待っていた方が楽だからだろう。  ま、今日は俺達もそんなようなもんなのだから。  やはり、この時間は少し混んでいる。  病院に行く人もここで少し食べてから行くのかもしれないのだけど、ここは春坂駅にも近い場所で通り道だ。 だからなのかスーツを着たサラリーマンもいたりする。  いつものように店員さんに席を案内されて席へと着く俺達。 「ほな、何にする?」 「あ、そうだな?」  そうそう朝のファミレスには来たことがない。 ついこの間行ったけど、それ以外は殆ど家で食事をしている俺達。  ……昼間のメニューとは少し違うのかな?  俺は適当に選んでコーヒーも付ける。  目覚めの一杯って所であろうか。  窓際に座った俺達。  窓の向こうには春坂病院が見える。  こうまじまじと見たのは初めての事なのかもしれない。  働いている時は裏手から職員用駐車場へと入るのだから表から春坂病院を見るのは本当に久しぶりだった。  春坂病院はこの地域では結構大きな病院だ。 確かに前に親父が買収したっていうのはおかしいんだけど、買ったっていうのかな? その病院も近くにあるのだけど、ここからでは見えない。  今は春坂病院だけが見えている状態だ。 「俺達ってこんな病院で働いてたんだな」 「あ、え? ああ、そうやんな」  そう言うと雄介も窓の外を見る。

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