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ー鼓動ー192

「まぁ、気になり始めたのは、初めて雄介が入院してきて、一般病棟に来て回診の時に部屋に入った時にもう体を動かしていて、その後、俺が怒った時に雄介が何で歩く練習をしてたか? って理由を聞いた時だったかな? 俺とお前は違う職種だったけど、考え方は同じだったって事なのかな? なんか俺の心に響いたっていうのかな? そこだったのかもしれねぇな」  最初は雄介に視線を合わせて話す事が出来なかった俺だけど最後の方は雄介の顔を見てそう話す。 「そうやったんや……まぁ、確かにな。 あの頃は俺とお前は違う職業やったけど、目指すもんは一緒やったって事やもんなぁ。 人を助ける仕事……俺も人を助けるって事に生きがいを感じてたしな……ほんで、望もそうやってって事なんや」 「ああ、そういう事。 確かに親が敷いてくれたレールの人生なんだろうけど、俺は小さい頃から医者になるって決めてたからな」 「そこは俺も同じやね。 だって、俺の親父も消防士やったんやもん。 小さい頃の俺からしてみたらめっちゃかっこよかったしな」  俺はそれを聞いて、 「あ……!」  という事に気付く。 「なぁ、確かに俺もお前も親父の事は今は嫌いって言ってるけどさ、小さい頃ってやっぱ、働いてる親父に憧れていたって事なんじゃねぇのか?」 「あ、あー! 言われてみればそうなのかもしれへんな。 親父に憧れてなきゃ、消防士や医者にはならへんもんな……それに、自分がなりたいって思わなきゃ別にならなくてもいい感じやったのかもしれへんし、親が敷いたレールっていうけど、実際には親に憧れて医者や消防士になった……っていうのが正解なのかもしれへんな。 やっぱ、小さい頃はホンマ消防士してる親父がカッコいいと思ってたしな。 確かに消防士は危険な仕事な訳で……親達はやっぱええ顔しておらんかったのかもしれへん」  雄介はその頃の思い出を思い出しているのか視線を上に上げて考えているようだった。 「でも、やっぱ、最終的に決めるのは自分なんやし、結局、親にもそう言われたような気がするわぁ『そういう事を決めるのは親じゃなくて、自分で決めなさい! 親はあくまで相談役なんだからね』って言われた記憶があるわぁ」 「やっぱ、そうなんだよな。 なんでもかんでもそうなんだと思うぜ。 誰かに悩み事を話しても最終的に決断を下すのは自分だろ? そこはやっぱ親の責任ではないよなぁ」 「そうみたいやな。 そうや! 俺が医者になる時だって、望とかに相談はしておったけど、最終的に決めたのは自分やったしな」 「ま、まぁな……確かに最終的に決めていたのはお前だな。 しかし、あの時はお前とどれくらいその話で語ったんだろうな? 時には喧嘩もしたしさ」 「え? あ、まぁな……俺やって、あの時は相当悩んだで。 でも、ある意味、望の親は俺にきっかけをくれたって訳やし、あのまま消防士として働いておっても幹部クラスになれるのは一握りな訳やし、消防士だって体の限界がある訳やし、それやったら、転職した方がええって思ったしな。 それに医者はある意味自分が限界って思った時に辞めればいい訳だし……長い間働いておれるやろ? それに医者っていう職業は年を取るほどベテランになれるっていうたらええのかな?」

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