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ー鼓動ー193
「あ、ああ、まぁな……。 確かにテレビとかでたまに見るけど、島とかだと年が行ってても現役でってお医者さん多いもんな。 そういうとこはやっぱ医者っていう仕事は自分限界だって思うまで出来るって事なんだろうな」
「そういう事や。 せやから、望のお父さんがそういうきっかけを俺にくれて良かったって言ってんやで」
「あ、うん……そうなのかもしれねぇよな」
「それと……後は望のおかげかな? 昔は他人の為に働いてもええって思うとったけど、今は望っていう恋人がおるから、望の事守っていかなきならないって思うたしな。 そしたら、死ぬなんて事出来へんやん……消防士って仕事は日々死とは隣り合わせの仕事やし、いつ死んでもおかしくはない仕事やしな」
その雄介の言葉に流石の俺も言葉を詰まらせる。
やっぱ、そういう風に言われると恥ずかしいといった所であろうか。
どれだけ雄介が俺の事好きかって事が伝わって来たような気がしたからだ。
「確かに人を守るって仕事も大事なのかもしれへんけど。恋人を守るって事の方が今は大事やって思うねん。 そしたら、医者の方がええのかな? ってな。 今は島の方で働かせてもらってて忙しくもないし、ホンマ平和に暮らせてもらってるって気もするしな」
「あ……」
雄介に言われて思い出したような気がする。
確かに雄介が消防士として働いていた時代はどれだけ俺が心配した事であろうか。
それこそ心臓がいくつあっても足りないって位だったような気がする。
毎日のように心配して雄介の顔を見て安心して、また雄介が仕事に行くと心配して……でも医者になった雄介はずっと俺の側にいるから安心出来ているような気がする。
「まぁ、良かったのかな? お前が医者になってさ、俺の方も毎日のように安心出来出来てる位だからな」
その言葉に雄介は俺の事を見てくる。
「……そうなん?」
「アホ……俺だってな……お前の事が好きなんだよ……だから、側に居てくれた方が安心出来るの……」
と流石に人前では小さな声で恥ずかしげに雄介に向かいそう伝えるのだ。
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