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ー鼓動ー194
そんな会話をしていると食事が運ばれてきて、ホッとする俺。
雄介とそういう会話もいいんだけど……まだ外では抵抗があるって言った所であろうか。
「ほな、食べたら行こか?」
雄介も何か俺の気配に気付いたのか、さっきの話はなかったようなフリをして違う言葉を言っていた。
「ああ、そうだな……」
その言葉に俺の方も答える。
俺の方は軽めにサンドイッチにしたんだけど……雄介の方は相変わらず朝からガッツリメニューだった。
そう考えると雄介は朝からガッツリと食べたい方なのかもしれない。
でも朝作ってくれるご飯は軽めにでもなくガッツリでもないような気がする。
……そういうとこちゃんと俺の事見ててくれてんのかな?
と思う所だ。
雄介と今までやってきたけど初めて気付けたような気がする。
だって前まではホント忙しくて人の事見てる余裕なんてなかったからなのかもしれない。
「ホント、お前って朝からガッツリメニューだよなぁ……」
「あ、え? まぁな……だってな、昨日の夜から何時間経ってると思うてんねん……そしたら、腹も減るやろ?」
「まぁ、そうなのかもしれねぇけど、体は動かしてねぇだろ? だから、エネルギーなんて使ってないじゃんか」
「でもな……俺の腹は食べたいって言うてんねんてぇ」
その雄介の言葉の俺は吹きそうになっていた。
子供みたいに言う雄介。 そこがなんだか可愛く思える。
「まぁ、雄介みたいな体してるとそうなのかもしれねぇな……食ったもんが全部筋肉にって感じだもんな」
「流石にそれはないと思うねんけど……でも、エネルギーを欲してるのは確かやな」
「まぁ、そうなのかもしれねぇな」
とりあえず俺はそこで言葉を止めておく。 何だかこれ以上言うと喧嘩になりそうだったからだ。
今の俺はそういう事も空気読めるようになってきたのかな?
やっぱ雄介と喧嘩なんかしたくないしさ。
俺の方は本当に軽く食事を済ませると少し窓の外を眺めてボッーとしていた。
ここは春坂病院の前にあるレストラン。
またサイレンの音が聴こえて来る。
俺が働いていた病院は救急もやってるのだから患者さんが運ばれて来る所だ。
……本当に忙しかったんだな。
と今はそれさえも懐かしく感じる位だ。
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