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ー鼓動ー205

「雄介ー! 出来たぞー!」  そう俺がご飯の時に雄介を呼ぶ事は殆どなかった。  そう言うと雄介は少し怠そうにソファから立ち上がりダイニングテーブルの方へと来る。 「本当に大丈夫か?」 「え? あ、大丈夫やって……でも、もう一晩位寝ないと全快にはならんのかな? 熱中症の患者さんは沢山見てきたんやけど、自分がなるのは初めてなんかもしれへんな」 「あ、そっか……」  と俺は答えながら雄介の前の席へと座る。 「でも、体調が悪い時は直ぐに言えよ。 かっこ悪いとかそう言う問題じゃないからさ」 「ああ、分かっておるって」 「……って、言うけどさ……気付いたの俺なんだけど。 お前が自己宣告しないからだろ? 俺が気付かなかったら家帰って来て家事とかやってただろうが。 とりあえず、調子悪い時には直ぐに言うようにしろよ。 それとも、やっぱ、俺の事試してたのか?」 「いやぁ、それはないなぁ。 やっぱ、かっこ悪い方やったのかもしれへんなぁ、後は心配されるのもって所も?」 「そう言う問題じゃねぇだろー。 病気の時にかっこ悪いとかって言ってる場合じゃないし……もし、これが風邪とかじゃなくて他の病気で一刻を争う場合だったらどうすんだよ」  流石にその言葉は効いたのか雄介は一瞬目を丸くしたようだった。 「せやな……望の言う通りなのかもしれへん。 病気の時は直ぐに言わなぁアカンな」 「そう言う事だ」  とりあえず話を終えると「いただきます」と言いうどんを食べ始める。 「まぁ、俺にはこんなのしか出来ないけどさ」 「そんでも、望が作ってくれたんやからな……美味いに決まってるやん」 「料理が上手い人に美味いって言われてもな」 「せやから、前に言ったやろ? 好きな人に食べてもらいたい! っていう気持ちが隠し味なんやって」  その雄介の言葉に俺は吹きそうになっていた。 「たまにお前クサい言葉言うのな」 「……ってか前にも言った事あるような気がするし」 「ま、忘れてたからいいんじゃねぇ? でも、クサすぎるのかもしれねぇな」 「だって、そうなんやもん」 「ま、普段はあんなにいっぱい食べるのだから、たまには軽くっていうのも胃にいいのかもしれねぇよな?」 「ま、そやね」

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