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ー鼓動ー275

 そして次の日は適当に時間を過ごし、その次の日にやっと島に帰る日になる。  俺と雄介は部屋で荷物をまとめると、 「もう、これで暫くはここに来ないな」 「そういう事になるな」  俺はそこでひと息吐くと、 「じゃあ、島に帰るか?」 「せやな……」  と言って最後に部屋の鍵を掛けて家を後にする。  また電車に乗って島に向かう船へと乗り込む。  今回はまだまだ人が乗っていた。  まだ夏真っ盛りなこの時期。 島に観光で向かう人もいれば、家族がそこに居て休暇を取って実家に帰る人もいるのであろう。  そこに知ってる人はいないのだけど島に着いたら、きっと俺達の存在に気付いてくれる人もいるだろう。  久しぶりの潮の香り夏の青い空に浮かぶ入道雲。  船が島へと向かって行く。  もうすぐそこには島が見えて来ていた。  一週間振りなのに何だか懐かしい感じがしてくるのは気のせいであろうか。  島に着くと沢山の人達が出迎えしてくれていた。  だが、そこには和也達の姿はない。  勿論、今の時間帯は診療所は開けているからだ。  定期便はまた明日出る予定で朔望達も明日東京に戻るのであろう。  俺達は船を降りると診療所の方へと向かう。

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