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ー至福ー8

「……んで、それを十ヶ月赤ちゃんお腹で育てる擬似経験させてもらってから、養子を貰う事が出来るらしいんだよな。 やっぱ、そういう事を経験させてからの方は愛情が湧くんじゃないか? っていう考えなんじゃねぇのかな?」 「あ、そういう事なぁ。 それやったら、分かるような気がするわぁ。 確かにお腹の中に赤ちゃんいる擬似体験をさせて貰って、ほんで養子を貰うねんやろ? まぁ、確かに、俺も父親の気分になってみたいしな。 ほら、こうやってな、望のお腹に耳当てて鼓動とか動いてる時とかっていうの経験してみたいやんか」 「……って、俺が……! そっちなのかよ」  何だかよく分からないけど、今の雄介の発言で恥ずかしくなってしまっていた。 「……へ? やっぱ、こういう場合、そういう役みたいなのは望なんじゃなんかな?」  そう雄介の方は本当に真剣な瞳で言って来る。 俺はその瞳を一瞬見たのだけど雄介の方は急ににやーというのかにゃはーというのか、そんなだらしないような顔になっているのが瞳に入って来て、その表情だけで今の雄介っていうのは俺達のそんな姿を想像しているんだろうって事が分かってしまい、いつものように俺の方は雄介に向かってゲンコツを喰らわすのだ。 「……痛っ!」 「痛いように殴ったからな」 「ホンマ、望ってこういう話苦手なのな」 「あったり前だろ……ってか、俺じゃなくて雄介がやれよ」 「……へ? って、その役、俺でええんか? 望がそう言ってくれるんやったら、その役、俺でもええねんけどな」  そう雄介の方は真剣な瞳で俺の事を見て来る。 そんな真剣そうな瞳に時が止まってしまったかのように俺の方も雄介のその瞳をいつの間にか見つめてしまっていた。 「だって、そんな経験って、普通に男の俺等には経験出来へん事やろ? こうお腹の中っていうんか……一応装置でなのかもしれへんけど、自分のお腹の上で赤ちゃんが育ってくれる擬似体験が出来るんやろ? それってなんていうんか、生命の神秘っていうのか、不思議な感覚っていうんか、赤ちゃんってお腹の中でどう動くんやろ? ってずっと俺的には思ってたとこやったしな」  雄介の方は本当にそこは真剣に話して来て、そして自分でお腹の辺りに手を置きながら話して来てくれる。  まさか雄介がそこまで子供の事について真剣に考えているとは思っていなかった事だ。 本当に雄介というは子供が好きなんだろう。 確かに今は小児科医ではあるのだけど、まさかそこまで子供の事が好きだとは思ってなかった事だからだ。 そして俺との子供を本当に望んでたんであろう。 って事が今の雄介の言葉で十分に伝わって来る。 「……って、本当にお前は子供が好きなんだな。 今ので十分にお前が子供好きなのが伝わって来たよ」 「……へ? あ、まぁ……確かに俺は子供むっちゃ好きやけどな。 ほんで、望との子やったら、きっともっと可愛えやろうしなぁって、そう考えるともっと楽しくなるやんか」

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