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ー至福ー7

 俺は今の裕実の言葉で益々考えてしまう。  そうだ。 裕実の言う通りだ。  折角、島の住人達が少しずつではあるのだけど、診療所も俺達の事も信用してくれるようになって来て今では診療所に訪れてくれる人達が増えて来た所なのに、もし俺達が今このニュースを聞いて明日にでも役場に婚姻届を出した場合、もしかしたら、また診療所に人が来なくなってしまうかもしれないからだ。 まだ国から同性同士でも結婚が出来るようになった。 という話が出たばかりで世間一般的にはまだまだ同性同士というのは認識みたいなのは薄いのだから、もうちょっと同性同士でカップルというのを世間的に認識されてからでも遅くはないという所なのかもしれない。 だけど俺達の場合にはもう年も年だし、そこの所は悩ましい所だ。 「せやなぁ。 確かに俺達には嬉しいニュースだったのかもしれへんけど……こう、まだ世間一般的に同性同士でのカップルっていうのは祝福されてないっていうんかな? まぁ、まだ認知度みたいなのが無いっていうんかな? だから、俺達の場合にはまだ結婚しない方がええって事なんかもな」 「あ、ああ……そうなのかもしれねぇよな。 折角、俺達の方も裕実と結婚出来ると思ったんだけどな。 それと、子供が出来ると思ったんだけどよ」 「子供って、養子を貰うって事やろ? 俺な、春坂病院にいる頃にな、そういった施設に診察に行った事があるんやけど、なんやろ? やっぱ、そういう子達っていうのは、こうなんか暗い感じがするんだよな。 ま、確かに両親を事故や病気で亡くしてしまった子や親の虐待かなんかでその施設に来た子達が多いからかな? 行く度にこの子達を俺が引き取る事が出来たらなーって思っておったから、そこはいい話ではあるんやけどな」 「あ! そうそう! それで、さっき言ってたんだけどさぁ、同性同士って言っても、女性同士の場合は同意があれば人工授精でお腹の中で子供を育てる事は出来るけど、男性の場合にはそれが出来ないからって、そういう装置みたいなのがあるような事を言ってたな」 「そういう装置!?」  再び雄介は目を丸くしながら俺の方へと視線を向けて来る。 「あ! それ、僕達も聞いてましたよ! 雄介さんはご飯作ってたんで分からないかと思いますけどね。 さっきの情報番組で言ってたんですよ。 ほら、今までも妊婦さんの擬似体験が出来る重り付きの洋服みたいなのがあるじゃないですか? それに更に温かみを保たせて数ヶ月毎に少しずつ重りの方を重くさせてくれるらしいんですよね。 それで、時期が来るとその重りの中が動き始めて蹴ったりとか鼓動の音とかって経験させてくれるらしいですよ」

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