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ー至福ー11

 雄介との結婚。 確かに夢みていた事だったのかもしれないのだけど、まだまだこう不安な事はいっぱいある。  そう昼ご飯を食べている時に、『明日にでも役場に行って、婚姻届を出してくる』と言っていた話もだ。 俺だってもう年も年だし、もう長年雄介とは一緒にいる訳だし、流石にもう他の人と恋人になったりしたいとは思わない。 だから結婚する相手というのか一生一緒に居たいと思ったのは雄介なのだから、結婚する相手というのは雄介でいいんだけど、だけどまだ今すぐにではなくて足踏みしてしまう程だ。  世間的には同性同士でも結婚も子供もいいんだよ。 っていう風にはなったのだけど、まだまだ完全に浸透した訳ではない。 もしかしたら中には認めない人もいるだろう。 だってそこは人間なのだから、こっちの意見もあれば、あっちの意見もあるのだから仕方がない所だ。  俺も本当に雄介と結婚してみたい所だけど、これはこれで悩みの種だ。  俺はテレビの画面をずっと心ここに在らずという感じで眺めてしまっていた。  そんな俺に雄介は気付いたのか、 「どないしたん?」  そう覗き込むかのように聞いて来る雄介。 「あ、え? あー……まぁ、やっぱ、色々とまだまだ同性婚って難しいよな? って思ってな」 「んー、まぁ、そうなん?」  と雄介の方はこう頭の後ろに腕を組んでソファに寄り掛かっている位なのだから、同性婚についてはまだ深くは考えてないという事なんだろう。  何だか俺だけが、その事について深く考えてしまっているようにも思える。 「そんなんあんまし深く考えでもええんと違う?」  そう雄介の方はあっけらかんと答えているのだけど、ホントそういう所羨ましいっていう所なのであろうか。 「だってな、世間一般的には認められた事なんやから、そこの所は逆に堂々としておったらええやんか……きっと望の事やから人の目とかっていうのを気にしておんねんやろ?」 「……え? あー……」  その雄介の言葉に俺があっちの方に視線を向けてしまうと雄介の方は何故かクスクスと笑っていた。 「クス……ホンマ、望らしい行動やねんな」 「え? それって、どういう意味なんだよ」  そうコソと聞いてみる俺。  今は二人だけの会話なんだから、まぁ、そういう事だったら気持ち的にはまだまだ恥ずかしいけど雄介には聞けるようにはなってきたのかもしれない。 「そのまんまやって……」 「どっちの意味でだよ」 「俺が言った事に対しての反応っていうんかな?」  その言葉で俺の方は急に体が熱くなったのが分かった。 まぁ、そういう恥ずかしい事を言われたのだから当然なのであろう。

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