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ー至福ー15

「せやな……。 和也の言う通り、俺達の方は後十年早かったら結婚も出来たし、子供も養子として授かる事が出来たのかもしれへんなぁ。 ほんなら、それで諦めるか? って言ったら、そこはちょっと違う気がすんねんけどー。 こうなんかいい方法っていうのはないんかな? 俺達が堂々と結婚出来て、お子様を迎え入れるっていう事な」  もう俺達はご飯をとっくに食べ終えていたのだけど、今日の話題がまだ完全に終わってないからなのか、まだ席を立つ者はいなかった。 特に雄介と和也に関しては腕を組んでまでその事について真剣に考えているようだ。 そういつも話し合いみたいなのになると和也と雄介との会話がメインとなる事が多い。 裕実と俺っていうのは、二人の会話を聞いているっていう事が多いのだけど、やはり気になった時には意見も言う事もある。 ま、裕実と俺に関してはいつもそんな感じだからいいんだけどな。 しかし今回の話題についても嬉しい事であるのだけど、なかなか厄介な事なのかもしれない。 「あー! ならさ、ちょっと朔望達にも聞いてみないか?」 「……って、アイツ達も確かに恋人同士やと思うねんけど、だってアイツ等の場合には兄弟やんか、流石にそこは結婚出来へんやろ?」 「でもさ、例え兄弟でも同性同士の場合のは関係無いんじゃねぇのか?」  そう和也はきっと思った事を口に出すタイプのようで、そう雄介の言葉に対して直ぐに質問していた。 「あ、あー……確かに、まぁ、そういうところはな。 まぁ、男女での兄弟っていうのは無理なのかもしれへんけど……養子を貰うって事だったら確かに兄弟同士で結婚するのはありっていう事やもんなぁ」 「そういう事……だから、アイツ等の意見を聞いてもるのも良くないか? って言ってんだけどー!」 「ほなら、新城センセと本宮さんの方は?」 「え? アイツ等の意見を聞く位だったら、朔望達の方が聞きやすいような気がするんだけどなぁ?」 「あ、ま、確かにそうなのかもしれへんよなぁ? ほな、聞いてみよ」  そう言うと雄介は自分のスマホをポケットから出して、朔望に電話をしたようだ。 そしてスピーカーにしたのだと思ったのだが、テレビ電話にしたようだ。 そうテーブルの上に置いた雄介のスマホには朔望と歩夢の姿が映っていたのだから。 『……へ? 何? 急にどうしたの?』  と何だか気のないような返事をしてくる朔望。  多分もう仕事を終えたからなんであろう。 だからきっと気が抜けているような声なんだと思う。 そして朔望はそのカメラに向かって笑顔で言って来るのだ。  しかし本当に朔望と俺というのは似ていると思う。 カメラ越しに見えている姿というのは俺そのものに見えるのだから。

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