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ー至福ー20

 その俺からの問いかけに何秒かかったか。 っていうのは分からなかったのだけど、数秒いや少なくともかなりの間があったような気がする。 そしてやっとの事で口にする裕実。 「僕と望さんの関係っていうのは……僕的には親友さんだと思っていますよ」  そう俺の方に顔を向けて笑顔で言って来た。  何でかその笑顔にホッとした俺がいたのは気のせいであろうか。 こう胸に手を当ててしまいそうな感じがあったからであろう。 「僕の方はそう思っているのですが……望さんの方はどう思っているのですか?」  そう裕実には逆にそう問われてしまっている俺。  その言葉に一瞬、俺の方は目を丸くしてしまったのだけど、勿論、俺の方も裕実とはそういう関係だと思っている事もあって、真面目な瞳で、 「……そりゃ決まってるだろ……俺達の関係っていうのは親友同士だって事なんだからさ」  その俺の言葉に裕実は再び笑顔になってくれるのだ。  ホント、裕実のそんな笑顔に俺の方もドキリとするのは気のせいだろうか、こうなんか癒されるみたいな感じだからなのかもしれない。 何となくだけど和也が裕実の事を好きになった理由っていうのが分かったような気がした。  それからの俺達っていうのは、何も会話がないままだったのだけど、なんか今日は小さな幸せを見つけられたような気がして裕実とお風呂に入って良かったという事だ。  幸せっていうのは毎日のように必ず一つや二つ小さい事でもあるような気がする。 それを見つけられるか? 見つけられないか? っていうのはその人次第なんであろう。  だから今日の一つの幸せっていうのは今の裕実との会話だ。  その幸せなひと時を胸にしまい今日はお風呂を後にする。 だが……その後に俺からしてみたら血の気が引くような事が起きてしまう等思っていなかった事だろう。  いつものように俺はお風呂上がりに頭を拭きながら廊下を歩いて、まだ和也や雄介がいるであろうリビングへと向かう。 するとリビングへと向かうにつれ男のイヤらしい声が聞こえて来たように思える。  確かに俺達がお風呂に入る前に雄介が朔望達に電話をしていて、朔望と歩夢は最中だっていうのは知っていたのだけど、まさかまだその最中だとは思ってみなかったからだ。 そうお風呂に入っていればとっくに終わってるかと思ったのだけど、どうやらまだまだ真っ最中だったらしい。  しかもあの二人はその他人の最中のを見ていられるなんて、俺からしてみたら最悪だと思っているという事だ。  今さっきまで裕実と会話をしていて幸せで天国みたいな気分だったのに、ここに来てみたら、まるで地獄に落とされたような気分になってしまった俺。

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