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ー至福ー19

「とりあえず、シャワーだけ浴びてさっさと出るか?」 「ですね」  俺はそれだけを告げると服を脱ぎ始め、さっさとお風呂場の方に向かうのだ。 そして先にシャワーを浴びていると裕実の方も洋服を脱ぎ終えたのかお風呂場へと入って来た。  しかし裕実というのは華奢な体に白い肌をしていて、これで本当に健康体なのか。 っていう位心配な体だ。 まぁ、逆に言えば白肌美人な体をしているっていう事だろう。  俺もよく雄介には言われるけど、俺からしてみたら裕実の方が肌が白くて綺麗なような気がする。  俺はとりあえず体にお湯を浴びる事が出来たのだから一旦シャワーの下から出て、手にボディーソープを付け体を洗い始める。  しかし二人だけでシャワーを浴びたのは初めてなのかもしれない。 いや俺は雄介とはたまにシャワーで入る時はあったのだけど裕実とはシャワーで入った事が無いという事だ。 浴槽にお湯を張って裕実と入るって事はあったのだけど。  二人でシャワーを浴びて入っていると会話が無いように思えるのは気のせいであろうか。  いやきっと気のせいではない。  こう二人共急に黙ってしまったのだから。  でも急に何も会話が無くなってしまったのは何でだろうか。 そこはまだ分からない所だ。  元々、俺と裕実というのは何も話さなくてもどうにかなるタイプで、まぁ、俺と裕実の関係というのは仕事ではやはり上司と部下みたいな関係だからなのかもしれないけど、プライベートでは親友だと俺は思っている。 いや俺が思っているだけでは親友とは言わないのかもしれない。 きっとそこは二人が親友だと思った時に親友っていう言葉が使えるのであろう。 じゃあ、そこはまだ俺と裕実の関係っていうのは親友では無いという事なんであろうか。  俺はそこが気になって裕実に問うてみる事にした。 「なぁ、裕実と俺の関係って……裕実的にはなんだと思う?」  その問いに体を洗いながら俺の方へと振り向く裕実。 しかも今は二人共お風呂に入っているのだから眼鏡が無く、俺からしてみたら裕実のその姿っていうのは色っぽく見えてしまっているのは気のせいであろうか。  当然、俺がそういう風に見えているっていう事は、和也からしてみたらもっとそういう風に見えているっていう事だろう。  流石に俺の方は裕実に対して欲情みたいなのは湧かないが、恋人である和也からしてみたら、こんな裕実の姿というのは蛇の生殺し状態なのであろう。  普通、そういうのは女性に対して見えて来るのかもしれないのだけど、もう俺だって長年、雄介と付き合って来たのだから頭の中が男性の体に向いてしまっているのかもしれない。

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