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ー至福ー23
「ありがとうございます」
そう笑顔で言う行動っていうのはホント裕実らしいと思う。
再び話が切れてしまった所で、俺の方はさっき俺自身が何を言っていたのかが気になり裕実に問うてみる事にした。
「あのさ……さっき、雄介達が朔望と電話している時に、俺が何か雄介達に言っただろ? それで、朔望が電話を切ったじゃないか……その時の俺っていうのは何か変な事を言ってたのか? だってよ、朔望も直ぐに電話切っちゃったし、雄介と和也なんかは直ぐにお風呂に向かっただろ? しかも、雄介の場合には『今日はよーく洗って来ないとなぁ』みたいな事も言ってたしよ」
俺のその言葉に裕実は、俺の事を目を丸くしながら見上げて来る。
って、そんなに俺さっき変な事を言ってしまっていたのであろうか。
少し間を空けてから裕実が急に口を開くのだ。
「……本当にそれを言ってもいいんですか?」
と聞いて来る始末。
「え? あ、えーと……」
その裕実の顔に警戒してか俺の方も裕実から視線を外してしまっていた。
「あ、あのさ……俺がいいって言ってんだからいいんだよ」
「そうですか……分かりました。 確かに望さんがそう言ってるんですからいいんですもんね」
本当に確認するかのように言って来る裕実。
「とりあえずですね……さっき、望さんは、朔望さんと雄介さん達の電話で『人のより俺の事を見てくれ』と言ってましたけど」
「あ……」
裕実が言いづらそうにしていた意味がやっと分かったような気がする。 確かに俺の口からしてみたらかなり恥ずかしい事を口にしていたようにも思える。
だから俺の方も思わず、裕実がそう言うもんだから、そういう言葉が出てしまったのであろう。
「あ、そういう事なぁ」
「はい……そういう事だったんですよ」
なんかこう今の会話で裕実との会話が気まずくなってしまったのは気のせいであろうか。
ま、二人共、普段から話し下手なんだからそこは仕方がない所なんだろうけど……。
……ま、俺が気不味くしてしまったんだけどな。
そしてそういう時に限って雄介達っていうのはなかなか出て来ない。 多分、雄介達がお風呂に入ってからもう二十分位経ってるのかもしれない。
いや二十分位じゃ、大人二人分ではお風呂の時間的にはまだ足りてはいないだろう。 大人になると流石に洗う面積も増えるのだから多少時間掛かるに決まっている。
そう裕実との会話で気不味くなってしまったからこそ時間が長く感じてしまっているという事だ。
しかし雄介達がまだ出てこないとなると、今時間裕実と何を話していようかと考えてしまう。
そう何かないかと視線を天井へと漂わせてみる俺。
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