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ー至福ー26

「え? あ、ああ……ぅん……まぁ、そうだな」  寧ろその雄介の言葉に拍子抜けしてしまっている俺。  ……今日の俺寧ろ若干期待しちまっているのかも。 だけど俺がそう思っているだけで雄介の方はそういう風に言うって事は考えてないって事なのかな?  そう思うと寂しくなってきたようにも思える。  俺はベッドの端で顔を俯けてしまっていた。  だって今自分の中でそう思ってしまっていたからだ。  その間にも雄介はベッドの上に完全に上がってハイハイしながら枕の方へと向かっていたのだから。  ここは俺が雄介に声を掛けないと、もしかしたら雄介は動いてくれないという事なんであろうか。 雄介に対して素直になれば、雄介は動いてくれるんであろう。 それとも雄介は疲れているから今日はもう寝ようとしているのか。  そういうのは全く俺の方は雄介の事をまだまだ性格云々と把握してないという事だろう。  しかしこういう場合、どう誘ったらいいのか? っていうのは俺からしてみたら分かってないのかもしれない。 そりゃそうだ。 だって今まで俺の方はそういう気にはあまりなってなかったのだから。 寧ろ本当に俺が雄介の事を誘うって事は今まであまりなかったから誘い方が分からないでいいのであろう。  まぁ、記憶の無い俺っていうのか記憶喪失の後遺症で熱を出して記憶を失くして雄介の事を誘ったっていう事はあったのかもしれないけど、実際問題その事について俺が覚えていない事だ。 だから素面の状態で雄介の事を誘ったら事がないという方が正解なのかもしれない。  だから今の俺というのは非常に迷っている。 なんていうのか、今頃の年になって俺の方が性欲に関して強くなってきているように思えるからだ。  確かにこういう事っていうのは若い頃に沢山やってくる行為なんだと思うのだけど、逆に俺の場合には本当に若い頃というのは忙し過ぎて、一人での自慰だって出来てなかったのだから。 それで雄介と出会って、雄介にそういう行為について色々と教わって来て、今やっとその行為について体が気持ちいいというのが分かって来てしまったのだから、今になって性欲というのが出て来てしまったという事なんであろう。 だからきっとさっきだって無意識に雄介に向かってそう言っていたという事なのかもしれない。  俺はベットの端に座りながら体全体で大きな息を吐く。 今の俺というのは完全に自己嫌悪状態だ。  流石に雄介の前では素直になれたのかもしれないけど、まだまだこういう事に関しては上手く素直に口にするなんて事は出来ないからだ。

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