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ー至福ー32
とりあえず今イってしまった事で俺は肩で激しい呼吸繰り返す。 一回イってしまった体というのは本当に体から力が抜けてしまう程怠くて仕方がない位なのだから。
本当に今の俺の顔というのはだらし無い表情をしているのかもしれない。 だけどある意味そういった表情っていうのは気の知れた人というのか恋人にしか見せられないような表情だという事だろう。
本当に雄介っていうのは優しいのか俺が力無くしている間っていうのは、俺には何もして来ないで俺の横へと横になっているだけだ。 これが和也だったら間髪入れずに気持ち良くしてくるんだろうけど……。
「望……大丈夫そうか?」
そう雄介は俺の頭や額を撫でながら聞いて来る。
その優しい撫で方に俺の方は、ただでさえイってしまって体から力が抜けてしまっているのに、雄介の手によって更に体から力が抜けてしまいそうになっていた。 これ以上、体から力が抜けてしまったら軟体生物になってしまうんではないかって思う位だ。
しかしこういう行為っていうのは、これだけではない。 今のはまだほんの序の口っていう所だ。 それに俺だけが気持ち良くなるっていうのは良くない事で、二人でこういう事をしているのだから二人共気持ち良くならないと意味が無い。
だけど今日の雄介はもしかしてそんなにヤル気はなかったのかもしれないのだ。 そこはちょっと心配になる所でもある。
呼吸の乱れも落ち着いて来た所で、俺は雄介の方へと視線を向け、
「雄介の方はどうなんだよ……」
って相変わらずな俺の聞き方に雄介の方は一瞬考えたようなのだけど、もう俺の事を分かっている雄介っていうのは俺が言いたい事が分かったようで、
「まぁ、俺の方はええねんかな?」
……その言い方だと分からないんだけどな。
そう『いい』っていう言葉というのは、どっちにも取れてしまうから難しいのだ。
「なぁ、雄介……その言葉だと、どっちだか分からないんだけどなぁ」
「ほなら、望はどっちがええの?」
そう雄介の方は俺のその言葉に、気持ち的に乗り出し気味に聞いて来る。
……もしかして今の俺っていうのは、雄介に試されてるのか?
案外そうなのかもしれない。 今までは俺が雄介に沢山甘えて来たのだから今度からは雄介が俺に甘えて来る番というのもある。 そうやってお互いに助けあっていけるのも恋人同士なんだと思うからだ。
それなら雄介のその言葉に答えるかのように、俺は雄介の方へと振り向くと怠い体を起こして雄介の上へと乗っかると、
「んじゃ、いいんだな?」
と俺からしてみたら挑発的な態度に出るのだった。
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