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ー至福ー33
そんな自分の行動に今日の俺というのは胸が高鳴り始めているような気がする。 こんな感情っていうのは初めてか、もしくは久しぶりなのかもしれない。
俺は雄介のお腹辺りに乗って少しでも体重の重たさを軽減させる為にお腹辺りに両腕を付いて雄介の事を見つめる。
俺からしてみたらそんな事だって初めての事だ。
だってこういう行為って恥ずかしい事だろ? だから今まで雄介の事を直視出来なかった俺だけど、今日は雄介の事をジッと見つめる。
俺の方は雄介の事を見つめるかのように見ていたのだけど、どうやら雄介からしてみたらその俺の表情っていうのが、
「なんや、今日の望って、色っぽい顔しとるなぁ」
そう言って雄介は俺がお腹の上に乗ったままの状態で半身を起こしてきて、片手を頰へと触れて来る。
雄介が寝ていた時とは近い距離。
ホントこう見ると雄介って、やっぱり男らしい表情をしているのかもしれない。 しれないじゃなくて、している。
寧ろ今までこうマジマジと雄介の表情を見たことがないから、そう感じているのかもしれないのだが。
俺と付き合うようになってからの雄介から比べたら、なんていうのか確かにかっこよくなってきたっていうのか、今はあの当時から比べたら歳も食って来たし、カッコいい紳士というべきなのか……それとも今は雄介自身で見つけた職業に付けたからイキイキしてるっていうのだろうか。 いや消防士時代だって雄介は仕事に誇りを持って働いていたし、きっと雄介からしてみたら消防士だって生きがいだったんだと思う。 ただ今は俺と付き合って安心する事が出来ていてゆっくりとした時を過ごしているからなのかもしれない。
ゆっくりと雄介の唇が俺の唇へ触れて来る。
本当に雄介からのキスというのは温かいし甘い……。
キスって、きっと甘い雰囲気だから、甘く感じられるのであろう。
もう雄介からしてみたら俺が掛けている眼鏡なんて余裕なようで、それを上手く交わしてキスをしてきてくれる位なのだから。
唇と唇を重ねた後、そこから離れると甘い吐息が漏れる。
その頃には俺の方もさっきよりも目がとろんとしていたのかもしれない。 だって今日の俺っていうのは完全にこういう行為に対して酔っているようで段々と目の方も背景が霞むように見えて来ているのだから。
「そんなんで、望動けるんか?」
そうもう既に今の俺っていうのは、雄介の腕で肩を支えられている状態だったのだから、雄介の方は心配してくれたのであろう。
……ホント、今日の俺って、何でこんなに雄介に酔ってるんだろ?
っていう位だ。
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