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ー至福ー70
ホント、そんな雄介に俺の方が笑えて来る。 そう辺な所、冗談と受け取ってくれないからだ。
俺の方は、そんな雄介にクスリとすると、
「……クス……冗談だって! 流石に俺がそんな事する筈ねぇだろ? それに、こういう行為って、初めての時は本当に痛いんだからな……お前って、そういうのに耐えられそうにねぇしさ」
俺はそう言うと、半身を起こして雄介の首へと両手を回し唇を重ねる。 流石に雄介の事を襲おうとは思わないのだけど、雄介は俺からの質問に『望のしたいようにしたらいい』と言われたのだから、今まさに俺は雄介の言う通り、それを実行しているだけだ。
俺だって、もう何年も雄介とはこういう行為を重ねて来ているのだから、初めての時よりかは知識はある筈だ。
唇を重ねて舌を絡ませたり。
そう今日の俺は本当に自分から動きたい気分だったからこそ、雄介にそう質問していたのだから。
そしていつも以上に雄介の事を誘うかの瞳で見つめるのだ。
「今日の望って……こういつも以上に可愛ええのなぁ」
今日の俺はそう雄介に言ってもらえるだけで満足なのかもしれない。
「なぁ、雄介……痕とか付けるのって、どうしたらいいんだ?」
「へ? え? あー……そうなぁ?」
雄介の方が逆にこんな俺に戸惑っているようにも思える。
……何? 雄介はいつもの俺の方が扱いやすいとか?
そう思った俺は、雄介の事を見上げて、
「こんな俺じゃあ、調子狂うのか?」
俺の方も困ったような寂しいような感じで雄介の事を見上げるのだ。
「あー……いやぁ……あー……」
天井に視線を向けて答えている所からすると、そういう事なんであろう。
今まで俺はそんなに雄介に向かって突っ込んだような話はしてこなかった事でもあるし、雄介の方も俺にあんまり自分の事を話してくれなかったから、雄介っていう人間の事を知ろうとは思って来なかったのだけど、さっき真剣に雄介と話をした事で俺の方は雄介に色々と聞けるような気がして来た。 それにさっき約束みたいなのもしたからなのかもしれない。
雄介の方は、さっきまで天井の方へと視線を向けていたのだけど、急に俺の方に視線を向き直して、
「望……熱とか出てへんか?」
そんな雄介の言葉に、
「……はぁ!?」
と声を裏返すのだ。
だって、そうだろう。 俺の方は普通に雄介にそれを聞いてるのに雄介の方はそう真剣な表情になりながらも茶化して来たからだ。
でも今の雄介の言葉で思い出した事がある。
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